タレ騒動勃発⁉

      
これから、今年最後の海外出張に出かけます。
 
帰国したら、このブログでまたお目にかかります。
 
 
 
さて、肌寒い香港で
もう一度、鍋料理を頂くことにしましょう。
 
 
ここは、尖沙咀(チムサアチョイ)イーストのビルの地下。
 
東来順」という清朝時代から続くイスラム料理店。
    
特に羊のしゃぶしゃぶ(刷羊肉)で世界的に有名な店の香港支店である。
  
   
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僕は1984年に北京に駐在していた頃、
外気が零下十数度、二十度の極寒の中で
何度も庶民の中に入り込んで食べた思い出の店なのである。
 
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2006年 北京の東来順で
 
 
当時は確か「東来順飯荘」と呼ばれていた記憶がある。
 
その東来順の味が、ここ香港で頂けると思うだけで
ワクワクする。
 
 
来た来た!
名物の羊肉の皿が。
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以前は寒い外気の下で、職人が包丁で凍らせたまま薄くスライスする技術がこの店のウリでもあった。
 
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室温に晒すと途端に脂身が溶けはじめるほど
 
 
とろけるような肉の食感や旨み、温かさなど、
食べた者しか堪能できないこの感激を、皆様もぜひ。
 
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初めて食べた厚切りタイプ  秀逸だった
 
 
 
僕のもうひとつの楽しみは
自分で調合する付けタレ。
 
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基本となるゴマダレ
 
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それに、ラー油、胡麻油、酒、醤油、黒酢、豆板醤などの調味料に、香菜、ネギ、ニンニク、唐辛子などの薬味を好みに合わせて自分で調合する
 
 
タレで思い出したのは、
今から約20年ほど前、京都西陣の旦那衆大勢を案内して
北京に行った時のこと。
 
 
当時は日本もまだ景気が良かったので
すごく元気で贅沢な団体ミッションであった。
 
 
冬の寒い時期だったので迷わず「東来順」に駆け込んだ。
 
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脇役となる具材は、淡白なものが僕は好き。あくまで羊肉の引き立て役だ
 
   
   
皆さん大喜びだったのはつかの間、だんだん機嫌が悪くなってきた。
 
 
出てきたゴマダレを見て旦那衆が皆、
    
ポン酢がなきゃ始まらない! 
ポン酢くらい準備しているだろう⁉
         
と大騒ぎになった。
       
 
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北京では木炭火力で、中央部の長煙突が特徴の鍋だ。香港店はビルの規制だからだろうか、IHだったが問題ない。画像は2006年北京
 
 
実は、中国ではあの酸味の効いたポン酢というものは存在していなかったのだ。
 
そりゃそうだ。
京都では、ポン酢は鍋料理には欠かせない。
 
 
しかたなく僕は、いろいろ中国の食文化を説明したり、
ダイダイやユズ、カボスなど調味用の酸味の柑橘は
中国では栽培さえされていない事実などを披瀝して
やっと矛を収めてもらったというスッパイ経験を思い出した。
 
 
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香港店のもう一つの名物、デザート点心。北京宮廷料理の系譜がうかがえる
 
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あっ! 小豆あんじゃなかった
 
 
当時(1980年代)僕は、ある大手食品メーカーと
ポン酢用の柑橘栽培地を中国じゅう探したのだが
組織的栽培地は見つからなかった。
日本から苗を提供しなくちゃいけないことを知って愕然とした経験があった。
 
日本式の梅干しにあう梅でさえ、
台湾では生産されていたが中国では皆無だった。
 
中国、台湾、香港ほか中華圏の人たちは酸味に対する感じ方が、日本人とは全く違うことを知っている人も多いだろう。
 
 
 
話を戻すと、その北京での体験以来、
僕は、団体さんの随行をする時、
味ポン酢とチューブ入りの練りワサビを持っていき、
サッと出すと、とてもとても喜ばれたものだった。
 
 
今ではアジアのどの都市に行っても
ポン酢もワサビも普通に売っている。
 
 
時代は変わったなあ。
 
 
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でも時代は変わっても、冬はやっぱり鍋が恋しい…。
                 
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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。