上海の泰康路に面した一角に「田子坊」と呼ばれる路地裏エリアがある。
路地裏が好きな僕が注目しているのだが、
比較的名所旧跡の少ない上海の街でも、今や
一大観光拠点に成長しつつあるホットスポットである。
聞けば10数年前に、中国人画家のグループがこの一角にアトリエを開いたのが始まりとされ、その後、アートショップやカフェ、ブティック、雑貨店、バー、レストランなどが次々と開店し、今も増え続けているという。
今中国で過剰・乱立ともいえる企画で設計された大規模集積ショッピングセンターとは異なり、住宅街に自然発生的に「増殖」しているのが特長である。
周りはこんな感じ
一般の住宅街が隣接する
四合院式など中国建築様式も触れることが出来る
上海建築のシンボル“石庫門”
上海には女性ブロガーだろうか、一眼レフを持った娘がとても多い
情報伝達・発信は、政治問題よりも日本と同じ流行コンテンツ。こっちの方がすごい武器
ニューヨークのSOHOやパリの一角のようなものだろうか。
モバイルPC、スマートフォン、iパッド・・・ 新しいもの好きの上海人が集まる
もしかしたら将来、代官山や自由が丘のような場所になるのかな
この日も昼間から多くの若者、観光客、一般市民、外国人など多くの人で賑わっていた。
いくら生活観の演出だからといって、少しやりすぎじゃあ??
でもその写真を撮る僕もヘンだよね
僕が注目しているのは、単に路地裏好きだからだけじゃない。
これらの店舗を経営しているのは、中国人だけじゃなくて結構外国人もいる。
日本人が経営している店舗もかなりあった。
おお~っ! 京都だ
最近、日本でも再び中国ビジネスに関心が集まっているが、そのほとんどが経営資源に恵まれる大手企業やアグレッシブな中小企業が中心だけども、いずれもすでに中国は、労賃から不動産、原材料などあらゆる物価が上昇しており、製造業の低コストモデルは益々難しくなっている。
その上、日本企業の中国でのプレゼンスが、
資金でも市場でも技術でも商品力でも、
いずれも中国から観て必ずしも優位に働かなくなっているという現実がある。
企業の進出にとって大きな懸念材料だが、
僕はまさに、ここ田子坊で頑張る日本や世界の若者、あるいは彼らのセンスを活用する経営者の動きは、これから中国ビジネスをする上で、ひとつのモデルになるかも知れないと直感し、注目しているのである。
僕は「中国ビジネスのニューカマー」と呼びたい。
これまで中国は、世界中から莫大な資金も技術も市場も取り込んできた。
今やこの田子坊のように、中国は徒手空拳の行動力にあふれた世界の若者のパワーまで取り込む国になり始めているのだ。
若い人のセンス、行動力、ネットワーク力、コミュニケーション力は、いつの時代もそうだが、新鮮であり、元気であり、ワクワクする。
また、そんなセンスを上海の人たちが大いに受け入れ始めているのだ。
しかも海外で頑張る日本の青年たちは、たくましいし、個性的で魅力的だし、行動的で勤勉で、優しくもあり、能力もあり、とても頼もしい。
その彼らだって僕らと変わらぬ普通の日本人なんだろうが、中国でチャレンジすると決めた瞬間、一歩行動に出た瞬間に、すっかり逞しくなったに違いない。
その一瞬が人生を変えていくんだよね。
この国際コスモポリタン都市・上海にあっても立派に伍しているゾ。
サンマの塩焼き定食も、ここ上海ではカッコいいカフェめし!?
いいじゃない。
それに日本式のサービスやセンス、商品企画は、キラキラと光り輝いている。僕にも大いに自信を感じさせてくれたよ。
FTA論議など、とかく日本は開放すれば全て外国勢に負けてしまうと内向きな論調も多いが、少なくともスポーツの世界やこのような海外での「ビジネスワールドカップ」のような舞台で、日本の若者は頼もしく、たくましく、世界と伍して、また世界に和して、そして中国とも対等元気に頑張っている。
上海でのビジネスはさながらワールドカップ
これら40代以下の日本やアジア・世界の青年たちが、新時代を切り拓くパワーエンジンとして大いに活躍していくだろうと得心し、僕も心から勉強させてもらった。
この田子坊という迷宮エリアには、
東洋と西洋、過去と未来、資本主義と社会経済が交錯している・・・。
チャイナドレスとジーパン小姐と
60年代文革宣伝アート
40年代上海ノスタルジー
田中 豊
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いや~おしゃれですね~。
上海を訪れることがあればぜひ、行ってみたいです!
上海はどんどん変化していきますね。
いつか行ってみたいです〜
きむらさん コメントありがとうございます。いまや中国はダサいとは言い切れなくなりつつあります。ここに行くといろいろ参考になるかもしれませんよ。アジアは今、いたるところに学ぶことがあると思います。きむらさんのように、どこにでも誰からでも学ぼうという謙虚な気持ちのある方には、いくらでもアイデアや情報が点在していると自信を持ってお勧めします。
ヒダカアヤさん コメント深謝。実は現地で、ぜひAYAさんにも観てもらいたいなと思っていたんです。変わらず伝統を守ることと、大胆に変化させていくことは、僕は合い矛盾しないと考えているのですが、特にアートの専門家のAYAさんはどう思いますか?中国人の面子をもって絶対に譲れないと言うもの上に、西洋や日本、アジア、アフリカなどのテイストをドンドン乗っけている姿は、日本のそれとはまた違っているように感じるのですが、いずれにしても一度観てもらいたいなあ。
ご無沙汰しております。じつは『田子坊』は12年前からウォッチしている場所なんですよ。以前は額などを売っている画材街でした。それがアトリエ街へなり、カフェができて、大使館の奥様方がそこに集まるようになったのがいまの佇まいになるキッカケだったと思います。上海駅から15分程のところにある『莫干山路50号 倉庫群(M50)』は行かれました?。田中さんのナイスな写真を見拝見して、更に変化した田子坊に思わずピクッと反応してしまいました。(^^ゞ
小川さん ご無沙汰しています。コメントありがとうございます。さすが小川さんです。12年前と言えば、ほぼ黎明期からじゃないですか。本当に中国は変化していますよね。莫干山路はまだ行ったことありません。ぜひ訪ねてみたいです。またぜひ一度ご一緒に海外を歩きたいです。ネパールの話もまた聞かせてくださいね。
ブログを見て上海へ行くのがさらに楽しみになりました。
8月は暑いようですが、楽しんできますね。
雄一郎は「僕の為に情報ありがとうございます!」と言っていました。
河野さん コメントありがとうございます。先日はオイスターパーティー楽しかったです。感謝感謝です。もし上海で時間があったらぜひ訪ねてみてください。河野さんカップルは本当に好奇心探究心研究心に熱心ですね。雄一郎さんに評価していただく情報を提供するのは至難の業ですよ。まもなく天津PJでまた新たな情報をご提供しますから楽しみにしていてくださいね。海外視察旅行が素晴らしいものになりますように!