宮仕えの想い出

私にも宮仕え(サラリーマン生活)をしていた時代がある。それは大学を出てから30歳になるまでの8年間であった。右も左もわからない田舎の大学生が突然大手町に勤務を始めた。誰でもが憧れる大手町も私にとってはただの人の密度の多い街に過ぎなかった。

当時は土曜日は半ドン(死語?)出勤が普通で、毎月の給料も現金の手取りか銀行振り込みかが選べた。

国際通信手段は、テレックスと四字(石ヘンに馬)電と写真電報があり、四字馬電にはすこぶる閉口した。四字馬電とは中国語の漢字ひとつひとつに4桁の数字が割り当てられていて、それをまたひとつひとつ探し出して文章に起こし、さらに一文字ずつKDDIのオペレーターに電話で口頭で伝えていくのである。「1280(ひと ふた はち まる)、3682(さん ろく はち にー)・・・」

毎日、来る日も来る日も独身男の声が、夜遅くまでさみしく響き渡った。

これが私の中国語の基礎が出来上がっていようとは、その時は思いもよらなかった。

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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。