彼岸を旅して廻る

ご無沙汰している間、
台湾の嘉義、台中、彰化、台北、そして香港、八代(熊本県)、宮崎、熊本と廻ってました。
 
 
Dsc04707
台湾新幹線(高鐡)嘉義駅ホーム
 
Dsc05852
台北中心街の風景
 
 
ちょうどお彼岸(中秋節)を挟んでのシーズンで、
どの出張先でも、ひと頃の酷暑から、涼しい風が吹いて来たり
朝晩が凌ぎ易くなり、ホッとしている。
 
Dsc06009
少し涼しくなったとはいえ、台北の秋の日差しは猛虎に例えられるように強い
 
 
台湾の中部でも実りの秋を迎えようとしていた。
 
Dsc04440
嘉義県にある国立の農業試験場
 
 
その後、大きな台風が通過したというから、
出逢った関係者の皆さんの仕事や生活に影響はなかったか心配だ。
 
 
Dsc04990
台北の青果市場で。この日葉物野菜は入荷していなかった。価格も通常の10倍以上もするものもあるという
 
 
台北では、日本のあの人気者と遭遇。
 
大フィーバーを巻き起こしていた。後日紹介しよう。
 
Dsc05317
 
 
台北で僕が好きな寧夏夜市で、なじみのフルーツ屋台に顔を出した。
ひと月前に来た時と商品がすっかり変わっていた。台湾でも果物が季節の移ろいを教えてくれる。
 
Dsc06172
 
 
 
 
香港では、日本総領事館を皮切りに
主要大企業、メガバンクなどの香港支店、
香港地場起業家や欧米のファンドマネジャーなど
過密スケジュールで訪問した。
 
Dsc07131
100万ドルの夜景は未だ輝き続けている
 
現下の中国の経済・社会の動向や投資環境、
中国化の動きを見せ始める香港社会の動揺、
香港から観た日中関係など精力的に情報収集してきた。
 
Dsc07265
「カントリーリスクときちんと向き合いながら、輸出志向型から内需重視型に移行する中国のこれからの変化と可能性を取り込むことこそビジネスチャンス。多くの日本人が見過ごしている」と、立場や業態は違っていても香港や上海に長く常駐する
皆さんは異口同音に強調する
 
 
やはり日本のメディア報道と現場のビジネス感覚とは
まったく様相が異なっていることが改めて確認された。
 
 
Dsc06975
上海やシンガポール、プサンなどとの激しい競争にあり、正念場を迎える香港経済
 
Dsc06905危機感すら漂う香港のこれからが注目される    
 
 
帰国して留まることなく、九州南部を行き来した。
 
 
本当に落ち着きのない性分が、
たまに自分で面倒に思う時がある。
 
 
でも、いつもいつも刺激を受け、
命のパワーに点火してくれる地域の元気な人たちと出逢う感激を味わえるから…。
 
 
Dsc07670
宮崎で次々と新機軸を打ち出し、海外事業もステージアップする若き農業経営者。逢うたびに進化を遂げている
 
 
Dsc07728
伝統かめ壺造りの醸造中の黒酢が秋空に映えて黄金色に輝いている。匠の技が現代に生かされ、そして海外に羽ばたいていく
 
 
前向き元気な皆さんは、ますますパワーアップしていて
やることが有り過ぎて目を回している。
 
 
Dsc07883
東京からの強力な支援者を囲んで、早朝から若き農業経営者の精鋭が集まってくれた。次々と日頃温めてきたアイデアがぶつけられる
 
 
 
今、ニッポンの地方が元気だ !!
 
 
そう自信をもって宣言できる。
 
世界に向けても、自信を持っていい。
 
 
Dsc07887
宮崎空港で。
口蹄疫、鳥インフルエンザ、新燃岳噴火など度重なる試練を乗り越えて一歩ずつ前進している
 
Dsc07388
熊本県八代市で予想を超える沢山の若い経営者の皆さんと交流した。僕はこの街特産のある産品をどんなことをしてでも中国に輸出を果たしたいという、強い執念を心密かに燃やし続けている…
 
 
 
家の小さな庭に、数本だけど
白と紅の彼岸花(曼珠沙華)が咲き、ススキが穂を出した。
 
Dsc08180
     
 
Dsc08307
 
 
身近に、小さい秋を感じることが出来た。
 
 
Dsc08248
                   

ニッポン農業の無限大の可能性を探る旅

ベトナム編を自動アップしているこの一週間、
宮崎の元気な生産者の皆さんたちと
再び台湾の台南へ行っていた。
 
事務局の方に呼びかけて頂いたところ、
20名近くの経営者の皆さんが
一年で最も忙しいこの時期にツアーに参加して頂いた。
 
感激そして感謝です。
 
Dsc03356
 
僕にとっては、2週間ぶりの再訪で、
台南には今年、都合4回目になる。
 
Dsc03162
玉井区のマンゴー集荷市場で
 
もう10年を超える付き合いになる農業法人経営者の仲間で
先代からの付き合いも多く、
知己の関係を超えた同志のような頼もしい存在。
 
Dsc02951
検疫処理、選果選別の最先端の現場を視察する
 
 
彼らにとっては
農産物の輸出は、きっかけの序章に過ぎない。
 
「世界を相手にするニッポン農業の可能性は無限にある。」
 
という理念のもとに、次の時代を見据えて
国内外で様々な活動をしている。
 
 
Dsc04385
日本人技師・八田與一が企画した烏山頭ダムで
 
アジア各地の生産現場を観て、事業・交流を展開するのもそのひとつで、今回は、僕が通った台南でのマンゴーの主産地を訪ね、台南市政府の農業局長や農協に当たる組織の秘書長や現場責任者と関係構築をした。
 
同時に、参加者の中で自社の製品を
台湾向けに実証輸出を希望する全員の成約も勝ち取り、
今後の日台農業交流に弾みをつけることが出来たと思う。
 
Dsc03547
     
Dsc03464
収穫しやすいように低木化させたパパイヤの樹
 
 
今回の訪台ミッションは、
団長に活躍目覚ましい女性の高峰由美氏を据え、また、
僕の15年来の農業、そしてブログの師匠である
やまけんこと山本謙治氏と、
京都から流通の専門家である内田貴文氏にも
同行して頂いた。
 
やまけん氏にアジアの農業現場を案内するのは
僕の長年の夢であったが
やはりいつものように僕の方が啓示をうけるばかりであった。
 
Dsc05164
念願の台北で魯肉飯(ローバープン)を頬張るやまけん氏
 
 
氏の日本および海外の農業生産者に対する応援の思いは
ますます熱を帯びている。
 
Dsc03556
      
 
僕の行動の原動力は、このような
前向き、広い視野、常に挑戦のスピリットを持つ
全国生産者・支援者の仲間からチャージされているのである。
               

山深い里で農産物の輸出とはこういうもんだと知らされた(その4)

こんなもの、あっても無くてもいいんだけどなぁ…。」
 
 
悪いけど
ドラゴンフルーツに対する
これまでの僕の率直な感想だった。
 
Dsc01213
海外発の国際線の機内食によく供される。パイナップル、スイカと並んで一番手前の白い果肉がドラゴンフルーツ
 
 
取り立てて甘いわけでなく、サッパリしている訳でもなく
食感だって、色だって、
これと言ってソソられる存在ではなかった。
 
 
Dsc06678
ファンティエット旧市街で偶然見つけた市場で
 
 
ところが、
ここベトナムの産地で一口かじると
程よい甘さが広がり、
ジューシーな食感が口中を爽やかに魅了するではないか!
 
Dsc08556
 
 
では、「これまで食べていたのは、いったい
何だったんだろうか?」と疑いたくなるような別物だ。
 
 
Dsc06823
     
皮は同じ色をしていても
上のように果肉が白いものと下のように赤いものがある。
 
Dsc01865
 
赤い方が甘い気がした。
 
他にも果皮が金色のゴールデン種もあるそうだ。
 
 
Dsc08571
 
 
現地の方の話によれば
完熟するとバナナのようにすぐに傷んでしまうので
まだ未熟のうちに若ちぎりをしなくてはいけないのだが
他のフルーツと違って、収穫後に追熟しないので
甘さが載らないのだそうである。
 
どうりで物足りない味だった訳だ。
 
 
Dsc06818
 
 
ベトナムの産地で出会ったことで、
おかげさまで、またひとつ
先入観が改まり、好物が増えることになった。
 
Dsc08545
ファンティエットのホテルでもフルーツの主役はやっぱりドラゴンだ!!
 
 
この赤くてずっしりと重い果実を味わうたびに
ベトナムの青空とどこまでも続く緑の回廊を
思い起こすだろう。
 
 
Dsc_2887
 
 
Dsc08581
          

山深い里で農産物の輸出とはこういうもんだと知らされた(その3)

ここはベトナム南部地区。

 
Dsc06480
 
 
ホーチミンから北東に約200km離れた街
ファンティエット(Phan Thiet 潘切 )に向かう道中。
 
Dsc09322
 
延々と続くかのようなゴム園を横目に快走する。
 
Dsc06467
 
広い大地のような景観になると
突然、奇妙な幽霊サボテンのような植物の畑が続く。
 
Dsc06403
 
それはもう、壮観そのもの。
 
Dsc06369
 
 
そう、
ここはベトナムでも有名なドラゴンフルーツの産地として名高い一帯。
 
Dsc06454
 
早速見学させて頂いた。
 
Dsc06392
 
ちょうど収穫が終わった直後で、熟した果実は見れなかった。
 
Dsc06444
 
 
Dsc06427
これがその巨大な花のつぼみだ。
 
Dsc06424
 
月下美人の花のように、夜中に咲くのだという。
 
Dsc06429
ドラゴンフルーツ(中国語名火龍果)という呼び名のとおり
まさにしなやかな躯体の龍を思い起こさせるフォルムだ。
 
Dsc06399
   
 
ここはもちろん海外輸出がメインの産地で
使用農薬から収穫・出荷まで厳しい管理下に置かれている。
 
Dsc06373
 
なかには、グローバルギャップ(G-GAP)
ベトナム版GAPの認証を受けいてうる圃場も沢山あるそうで
ますます厳しい安全管理が
アジアでも標準化されつつあることを思い知らされた。
 
Dsc06459
 
 
通りには、おそらく100台を超える超大型輸送用冷蔵トレーラーが待機していた。
 
Dsc06485
 
年間を通して、ここから全世界に向けて出荷されている。
 
Dsc09205
    
Dsc09232
 
一体何台のトレーラーと冷蔵倉庫を見たことか?
 
Dsc06491
沿道のあちこちで収穫されたばかりの果実を売っていた
 
Dsc_6644
    
 
Dsc06407_2
 
 
そのスケールの大きさと
海外輸出に向けた徹底した取り組みの姿勢に
ただただあんぐりと口を開けて見入るばかりだった・・・。

山深い里で農産物の輸出とはこういうもんだと知らされた(その2)

マンゴー選果場での視察が終わったら

お決まりの試食である。  
 
思わず唾液が染み出てくる。
 
 
Dsc01509
台湾ではお馴染みのマンゴーナイフで碁盤状に切り込みを入れる。
そして皮の部分を反転させると・・・
 
 
Dsc01478
「ほうら、このとおり。手で汚さずに食べられますよ」と毎度披瀝される
 
現地で頂く、完熟したマンゴーは殊の外、ジューシーで美味しい。
 
 
           *               *
 
 
マンゴーの畑、いや山を見せて頂いた。   
 
Dsc01266
 
去年は天候異変で気温が上がるのが遅れたため
収穫が遅れて、日本市場では他国産と競合して
思うように販売が伸びなかったと、今年も危惧している。
 
出荷のタイミングも、競争に打ち勝つ為の充当な要素だ。
 
 
Dsc01261
まだ大きさが達せず袋掛けしていないマンゴー
 
 
Dsc01307
見渡す限りのマンゴーの樹
 
 
これをパノラマで撮ると
 
Dsc01303
 
360度こんな感じ。
 
これだけの袋掛け作業をどうしているのかと聞いたら
袋掛けだけでなく、枝の剪定、摘果、袋掛け、収穫、施肥と
その都度何度も山に入って一本ずつ全て手作業で行うという。
  
気が遠くなりそうだ。
 
 
やはり台湾でも農作業する人がいないので
東南アジアからの外国人労働者で成り立っているのだという。
 
10年先の日本の姿が見えてくる。
 
 
Dsc01272
ご覧のとおり、接ぎ木をしている。国際競争に打ち勝つために不断に研究改良を重ねているという
 
 
もちろん国内向けと海外輸出向けは圃場を区別しており
農薬や肥料の管理も国別に徹底的に行っている。
 
Dsc01332
 
研究、栽培、加工、検疫、マーケティングとすべての過程において
輸出向けの組織と体制が整備されている。
 
 
 
それでも実績に甘んじることなく、厳しい海外市場での競争に立ち向かう関係者の意気込みは凄まじかった。
 
 
Dsc01286
              

山深い里で農産物の輸出とはこういうもんだと知らされた

いよいよシーズンが始まった。

 
 
そう、台湾産のアーウィン(愛文)種マンゴー
海外輸出の季節がまたやって来たのだ。
 
Dsc01223
台湾新幹線・台南駅で
 
 
台湾のブランド名産地である台南市玉井区の選果場では
輸出向けマンゴーの選果、蒸熱処理、事前検疫の作業が
始まっていた。
 
Dsc01409
 
今から7月いっぱいまで食事を摂る時間もないくらいの
多忙に追われている。
 
Dsc01407
     
今年も立派なマンゴーが日本や韓国、中国などに向けて
化粧を施されて航空便の出荷を待っている。
 
 
 
今年から無添加のドライマンゴーも商品化され
先ずは台湾市場に売り出されるのだが
早くも注文に追い付かないほどの人気ぶりだそうだ。
 
Dsc01374
無添加で1年間保存でき、しかも素晴らしい食感を呈するその製造ノウハウは、驚くほど緻密な温度管理にあった
 
Dsc01378
見よ、この飴色の光沢を! 出来立てのアツアツは生果を凌ぐほどの濃厚な美味しさだ
 
 
そろそろ首都圏でも台湾産のアップルマンゴーを見つけたら、
最新鋭の処理機器と日本の検疫官が常駐する
この選果場から大切に送り出されたものである可能性が高い。
 
 
Dsc01547
              

東南アジアで目撃した農産物輸出の現実に身震いした瞬間(とき)

一週間で、台湾とベトナムを廻ってきた。
 
Dsc06779
ベトナム南部の街の市場で
 
 
これがハブ都市の台北とホーチミンだけなら
オーソドックスな行程だが
いつもながら僕の場合、そうではない。
 
 
台湾は南部の、ベトナムもホーチミンから
数百キロ離れた農業地帯を訪問。
 
5日間、連日自動車で5~6時間の移動で気力の勝負。
 
Dsc04822
ホーチミン市街から一歩外へ出ると延々と水田が拡がる
 
日本のように高速道路ではない荒れた道を
しかもハリウッド映画並みに対向車線にはみ出して
正面衝突寸前で回避するような暴走スタント運転するから
もう生きた心地がしないシビレるスリルを
トコトン味あわせてくれる。
 
 
Dsc01146
ベトナム地方都市の八百屋さんで
 
 
今回の目的は、ニッポンを売る!ではなく
現地の彼らが、グローバルマーケットに向けて
その広大さだけでなく、
深さも、スピードも、技術も、発想においても
全ての要素において徹底した近代事業化に向かって
ドンドン進化成長させている現実を目の当たりにしてきた。
 
Dsc01407
台湾最大のマンゴー産地ではいよいよ海外向けの出荷が始まった。職員は食事を摂る暇もないほど忙しい
 
 
僕は自分に向けて
農産物輸出戦略の在り方を根本的に問い直す契機にしたかった。
 
 
Dsc01297
360度広がるマンゴーの畑
 
Dsc01261
 
 
国情が違う、文化が違う、体制が違う
目を背けるための理由ならいくらでも挙げられる。
 
 
でも、野球でもサッカーでもそうだ。
 
いま世界で、そしてすぐ近くの成長アジアで
「何が起こっているか」ということを、
その国で一流を目指すプレイヤーなら自分の眼で確かめることだ。
 
 
これが素人の僕ではなくて、
若くて志のある生産者が観たら、どれだけ武者震いするだろうか?
と考えた。
 
Dsc06413
ベトナム・ファンティエット付近に拡がる、ある果物の畑。壮観!!  後日紹介する
 
 
世界はスゴイ!!!  
 
 
しかも、農業・農業技術の持つ可能性
地球規模で、その価値でも貢献性においても
「超」モノすごい夢と可能性を秘めている素晴らしい分野だと
認識する若者が続々と出てくると、僕は信じている。   
 
ハイテク産業や先端工業は、野球のように
やる国は限られているが、
農業や観光、地場産業なら世界中でみんなやっている。
サッカー人口のように世界規模だ。
 
 
Dsc04949
とんでもなく奥まったベトナムの山間地で、元気な日本の農業法人がこれからプロジェクトをスタートさせる。スゴイ発想だよ!
 
 
 
僕に残された人生でのこれからの使命は、
   
さらに多くのニッポンの若きサムライたち
この身震いするような 魂の感動と恐怖と
そして自信と誇りを感じてもらい
 
地球と歴史を意識するくらいの
スケール大きな心のタイマツ(松明)に点火していくことだと
心の中で誓っている…。
 
 
Dsc09780
ベトナム・ホーチミンで

海外販路開拓事業の答えは何処に在る?

現場主義

 
言うのは簡単だが、
なかなか実行することは難しい。
 
Dsc09236
熊本県湯前町。 宮崎県境にあるこの村でも知恵と工夫でヒット商品が出来上がっている。写真は、流行している健康食品雑穀米用に使われるはだか麦の畑
 
 
僕が「ニッポンを売る!」と呼んでいる
我が国が誇る地場産品の海外販路開拓の支援の現場というのは、
一般に海外のマーケットでと思われがちだが、
僕は一貫して国内の生産現場に在りだと主張し続けている。
 
Dsc09229
麦秋というのかな。収穫を迎える麦穂が美しい
 
 
生産者、農業の現場に寄り添うことのない発想の支援などあり得ないと考えているからである。
 
Dsc09220_2
 
 
僕が支援させて頂く地域では、
必ず丹念に現場を訪ね、
現場で汗を流す皆さん、支援者の方々と
コミュニケーションを図ることをモットーに
している。
 
    
Dsc08851_2
    
 
 
ここ熊本県でも、事務局の集計によると
2年余りで僕は100軒を超す生産者さんを訪ねたそうである。
 
だから支援事務局と実際輸出に挑戦する事業者との間の連携がとても円滑だ。
 
 
Dsc08719
熊本県宇土市のトマト農家を訪ねて。 熊本県はトマト生産量日本一である
 
 
農業について少しだけ理解が深まったこと、
全くの無知を知らされたことなど
とにかく勉強になることばかりの中で
地域の奥深さ、農林水産業の現実と向き合っているつもりである。
 
Dsc08826
燃料費の高騰等でコストは上がる一方で、豊作や参入者の増加で出荷量が急増したためトマト価格が低落。売り上げも収益も減収する中でTPP、農政変化など不安材料が持ち上がっている今の生産者の思いに、まずどれだけ耳を傾けることが出来るかが出発点となる
 
 
 
生産者は日々、知恵と工夫を凝らして何とか勝負できると信じて
付加価値を上げたり、用途開発をすることに執念を燃やしている。
 
 
Dsc08824
八代で生まれた塩トマト。今や全国区の知名度を持つ
 
 
自然災害や日々の天候等に左右され、価格も自分で決められない生産者にとっての海外輸出で、産地の動機や背景は千差万別。過去の成功体験など、まるで役に立たない。       
 
Dsc09295
 

北海道のおへそを旅する(その4)

北海道を車で移動すると

沿道の広大な田畑や農業施設に
つい目がいってしまう。
 
Dsc07219
 
 
住んでいないから、
季節ごとの風景の移り変わりが分からず、
例年の景色というものを知らないけれど、
サクラの開花が遅いのと併せて
なんとなくいつもと違うのではと感じてしまうほど、
ただむき出しの土地が目についた。
 
Dsc05271
 
聞けば、やはり暖かくなるのが例年より遅いので
農作業が遅れているのだという。
 
Dsc05269
    
 
表面の土が十分に乾いていないので
耕せないのだという。
 
Dsc05228
 
水分が多いまま耕すと、土が塊になってしまい
苗や種が植えられないのだそうだ。
 
Dsc07323_2
ハウスの中で、さらにトンネル栽培をしてる。おそらく苺の苗を植えているのだろう
 
 
富良野の郊外で、
若い緑色の芽が風に一斉になびていて
とても美しかった。
 
Dsc07374
 
タマネギの苗だそうだ。
 
 
夕餉の席に、このタマネギ苗のお浸しが供せられた。
 
Dsc05585
   
 
なんとも柔らかく、クセのない口当たりと青葉の薫りは
初体験ではあるが、春を感じさせる逸品だった。
 
 
農場を俯瞰して、
改めて食卓の豊かさを感じることになった。
 
 
Dsc04794
           

21世紀型産業社会の実現を目指す女性リーダーの県

台湾中南部の嘉義県を訪れた。
 
嘉義という地名に馴染は無くても
阿里山といえば知っている人も多いだろう。
 
そう。世界3大登山鉄道のひとつ阿里山森林鐡路のある
台湾最大の観光名所のひとつだ。
 
 
200pxtaiwan_roc_political_division_
また即席麺の父と呼ばれ、日清食品創業者の安藤百福さんの出身地でもある。
 
 
嘉義県は東西に長く、西端の海岸線から、東端は富士山より高い玉山(3,952m)の峰につながる、めっぽう多岐に及ぶ地理的環境にある。
 
 
ちょうど北緯23.5度の北回帰線が横切るのも、ここ嘉義県である。
 
 
だから、物産も豊富。
 
海産物は養殖の牡蠣やサバヒ、農産物では高山茶、メロン、柿、トマト、タケノコ、トウモロコシ、オクラ、花卉類では胡蝶蘭とトルコキキョウが全国的にも有名だ。
 
 
 
この日、嘉義県の公邸に 張花冠県知事(県長)を訪ねた。
 
 
Dsc09503
 
農業振興に関する日本の地方とのプロジェクト連携について協議するためである。
 
Dsc09556
     
 
京劇の主役のような端正な顔立ちに
魂のこもった眼差しが印象的な嘉義初の女性知事である。
 
Dsc09599
 
物事もズケズケとはっきりしていて
通訳をしていてもとても小気味良い。
 
 
今、日本の人たちは、これからは東南アジアだとか、まだ大陸だなんていうけど、日本にとって一番重要なパートナーは台湾よっ!
 
 
長いこと政権から軽視されたために開発から遅れてしまったけど、それを逆手にとって緑あふれる食と農と観光の拠点にするのです。
嘉義県は21世紀に相応しい、まさに自然と産業が調和した地域づくり戦略を積極的に展開するので、経験豊かな日本の協力がぜひとも必要なのです。」
          
ときっぱり。
 
 
Dsc09520
嘉義にも名物カラスミ(烏魚子)がある
 
 
農業、経済商工、観光の各局長も自信満々な表情。
 
  
最近、我が国政府も、女性の能力発揮を、と協調を始めたが、海外ではもはや珍しくなく、男性には出来ない発想や対応力、気配りもあって、大いに学ばなければならないと感じた。
 
 
Dsc09590
山あり海あり、文字通り山海珍味
 
 
目指すべき道や成長戦略が明確な組織は、
行動も早く、人心もまとまりやすい。
 
Dsc09609
豊かな嘉義のフルーツ
 
 
Dsc09627
別れ際の記念品交換の場でふと女性らしい柔らかな笑顔を見せてくれた。地元では嘉義のお母さんと呼ばれるほど県民から親しまれている
 
   
Dsc09658
公邸内に設えられた超プレミアム級の阿里山高山茶の茶葉。あたり一面に清々しい香りが漂う
 
 
農水産物商品の輸出促進もいいが、ただそれだけが海外対応の施策なのだろうかと考えると、いずれアジア新興国にこの分野でも追いつかれ、追い抜かれるのではないかと心配するのは、ただひとり僕だけであろうか。