長い間、お待たせして済みません。
12月23日頃、記事のアップを予定しています。
今しばらくお待ちください。
砲撃数日前の韓国・インチョン(仁川)で
<日本の農林水産物の輸出、海外展開><新時代の地域活性化><アジアとの新連携>を目指し、 海外に向けてニッポンを売り込み、地方の元気作りを支援する行動派コンサルタントの奮闘記
北海道のへそを自認する富良野から帰還して翌々日。
今度は、九州のへそである熊本県を延べ3日間かけて
縦断・横断した。
まだ、北の大地の印象覚めやらない時分だったが、
それだけに大九州の山河を目前にして、
「南の大地もすごかぁ~っ!!」
3日間で10ヶ所の農業生産者、農業・畜産団体、市町村などを訪問して、現地で生の声を収集だ。
海外販路開拓(輸出)、農商工連携、商品開発など
地域農業に関する様々な課題について情報交換・意見交換を行った。
和牛、豚肉、コメ、甘藷、ユズ、シソ、果樹、菌茸類など
さすが九州熊本、多様な産物が目白押しだ。
鮮やかな赤色が印象的な熊本かんしょ
熊本は、またの名を「火の国」と称するが、
暑いのは気候だけでなく、人の心がヤケドしそうに熱々なのだ。
とにかく何処へ訪ねても、熱っぽく語る方ばかり。
来年の九州新幹線開業に向けて、今、熊本は燃えている・・・
青年、ベテラン、年配、女性、辣腕経営者、革新的公務員様々あれど、共通するのは、皆プロフェッショナルな経験と高い志を持っていること。
こちらが後ずさりしそうなくらいの情熱をぶつけてきてくださる。
今、熊本県人が熱い…。
ある町では、地域のお年寄りが集まって始めた事業が
とんでもなく大きく膨らんでいる。
元気おばあちゃんたちがこさえた(作った)味噌漬け(奥)と
ミョウガ葉で包んだ大福もち(手前)。 美味しかったぁ~。
そして、そのおばあちゃんたちの夢が海外に売り込みに行きたい、
ということ。
あと10年若かったら良かったとにねぇ・・・。
ぶ、ぶ、ぶ、ぶっ飛んだ。
畜産と米作二組の若いご夫婦の生産者にも脱帽。
カップルどちらも眼がキラキラと輝いている。
僕らの前では、ご主人が熱く未来を語ってくれ、
奥さんが横でニコニコ聞いているが、
もしかすると奥さんも内心は新たなチャレンジに燃えてるかも知れない。
だって顔にそう書いてあるもん。
奥さんが握ってくれたおむすび。塩加減がチョー絶妙。
有機米なのに、味が濃くて甘くてビックリ。スゴい研究実践の成果だ。
素敵ナイスなご夫婦だった。
花材用ハナモモの畑。 手入れが行き届いている
熊本県は、「ニッポンを売る!(海外販路開拓)」行動でも、
全国でもトップクラスを行くエリアだと自信を持って言える。
これからは、北も南も目が離せない。
天橋立を真正面に臨む海浜に、突如現れた
一際センスのよい看板が目に飛び込む。
「天橋立ワイナリー」
付近の民家や海の幸を供する建屋とは一線を画した、
でも、決して近隣との景観との調和は乱していないワインシャトー。
外観は工場然としてないが、
屋内の醸造設備は、世界最先端のもの。
もちろん樽や瓶が並ぶ地下の貯蔵庫も見学できる。
発酵途中のワインで、盛んに出てくる炭酸ガスが舌を刺激し、フルーティーなシャンパンのような口当たりとなる。酒税法上、持ち出すことが出来ない。
階上のレストランで昼食をとる。
すべて地元産の素材を使用した宝石箱のようなランチプレート。
まるで小宇宙 これにスープと豪華なデザート、珈琲が付く
近くの漁港で水揚げされた魚介類。
地鶏に加え、地元で肥育された黒毛和牛と短角牛のハイブリッドである京都肉のローストビーフ。
そして、万願寺とうがらしをはじめとする京都産野菜群。
素晴らしい食事のベストパートナーは、
もちろん天橋立ワインだ。
こちらのお店のオーナーである山崎社長にもお話を伺うことが出来た。
とにかく個性的な発想と卓越した行動力の持ち主で
1分と経たないうちにその魅力に引き込まれる。
とても手入れをされた一面のブドウ畑の向こうには天橋立が
馥郁としたワインの香りと同様、
個性的なのに、決して調和は乱さない。
決してでしゃばらない京都人の姿勢が垣間見える。
*ちなみに、帰郷後お礼のお便りを出したら、さっそく返事のメールが届いた。
なんとウィーンから。 その行動力には驚いた。
その後も、地域の元気人の皆さんとの出逢いを果たし、
後ろ髪を引かれる想いで、丹後半島を後にした。
帰路の3時間の車中、ずっと感じ続けた心地よい酔いは、
天橋立ワインのまろやかな酒精をベースに、地域の皆さんの熱い心、地場産食材、延々と拡がる車窓の景観、そしてむせ返るような暑さと程よい倦怠感がカクテルされて生み出された、
文字通り「京都の盛夏の酔い」だった。
(シリーズ終わり)
今回は、北海道中小企業家同友会帯広支部主催の農商工連携セミナーに参加するためにやって来たのだ。
JR帯広駅
どんな人たちと出会えるのだろうか?
どんな面白い事物に出会えるだろうか、と
ある意味、海外へ行くより楽しみにしていたのだ。
えっ、エエエエエエ~ッ!
欧州リゾート風の北海道ホテルは、非日常的な幻想世界が楽しめる。
ヴァージンロードのその先は真っ白な雪という幻想的なチャペル
雪景色をパノラマに食べる朝食は生まれて初めて!
ホテルでゆっくりすればよいものを、初めて訪れる地の銀世界に憧れて、思わず外に飛び出てしまう。
この広い街を徒歩で。。。
目指す所なんかない。
目に映る景観すべてが目的地。
わが国の農業と牧畜業のメッカである十勝にようやく訪ねることができた感動を踏みしめながら。
それにしても寒い。いや冷たい。マイナス7℃。
凍結した道路を何事もなく走る自動車が不思議でならない
それでも地元の人たちは、今日は暖かいと言う。
参った。
3時間のセミナーでは、皆さんずっと真剣そのもの。
こちらも自然と力が入るもの。
質問も次々と飛び出す。
寒い地方は静かな人たちばかりだろうなんて、誰が信じるものか。
夜9時半に終了したセミナー後も20名近くの有志が集ってくれて、深夜近くまで十勝焼肉で大いに盛り上がった。
いやあ、みんな勉強の後は、肉をほお張って盛り上がったぁ。
こんなに新鮮で美味しい肉を食べられるなんて十勝ならでは
このパワーはすごいぞ。
今回の機会を作ってくださったT先生、同友会事務局の皆さん、
ありがとうございました。
明日、僕の農場を見に来ませんか?
一人の体躯の大きい若きリーダーが誘ってくれた。
もちろん! 生のラム肉をほお張りながら、
間髪おかずに即行決まりだ。
(次回に続く)
あの有名な北の屋台も帯広の顔
北国の屋台は、やはり風情がある
旧正月(春節)までは、いつもと変わらないお祝い気分であった。
香港 1月
いや、むしろ我々は金融危機の影響なんて何にもないよ、
といわんばかりのアピールでもあった。
シンガポールで 1月
でも、一部の業界業種を除いて、やはり不況は深刻だった。
このころは不動産も下落してたっけ 香港1月
繁華街にだってシャッターが降りた 台北1月
ピンチはチャンス!
それまでデフレの発信源、不安定な政治経済などいろいろなレッテルを貼られ続けていた中国が、世界経済の救世主として大きく注目されるようになった。
自転車の洪水は日本に移り、中国は自動車の慢性渋滞だ。
地下鉄と自動車の普及で自転車がめっきり減った 北京11月
替わって、終日の渋滞が・・・ 北京11月
自動車の生産も販売も世界一をうかがい、GDPではいまや日本の背後に迫り、まもなく追い抜いて世界第2の経済大国の座を明け渡す。
日本では都心部ほど自転車がイッパイ 大阪なんばで
脅威と見るか、チャンスと観るか?
数えてみたら今年、中国、香港、台湾、シンガポール、タイなどアジア各国に14回行ってる。
へえ~ッ! なんて驚かないで欲しいな。
すでにアジアへの出張なんて、国内出張と同じ感覚になりつつあるんだよ。ホントだよ。
香港の地下道で
私の仕事は関係ないもん、なんて言ってるあなた。
香港でも鯛焼きブーム!?
あなたのお仕事こそ、
これからもっともっとアジアとの関わりが強くなるんですよッ!
(次回に続く)
この回顧は、あくまで私見に基づくもので、いかなる分析、事象と関係ありません。
(前回より続く)
あたりはいつの間にか真っ暗。
海岸沿いの広い畑が両側に広がっているんだろう、何も見えない。
どこをどう行ったのかさっぱり判らないまま、とある寿司屋へ案内された
どこにでもある造りの広い座敷に腰をすえる。
遠くから来た者なんで、福井の美味しいもの食べさせてください!
カウンター越しのご主人に向かって、調子に乗ってお願いする。
厨房からは無言。 なんの返事も無い・・・。
ところが、、、、、、だ、
福井県といったら、今が旬の“越前ガニ”(ズワイガニ)が登場。
手前はメスで「せいこがに」と呼ばれ、奥がオスの越前ガニ。
黄色のタグが付いたのが、正真正銘の三国港産・越前ガニだ。
皇室への献上ガニは三国港で水揚げされたものが毎年届けれられる
ぷ~~んと漂うカニ味噌の香りと
トロリと舌をとろけさせる官能的な食感がたまらない。
嗅覚、味覚をシビれさせるこの旨みを知ったら、即座にノックアウト。
食べるんだったら、その旬の季節に現地に来るに限る。
足を運んだ甲斐というものをまざまざと感じさせられる。
今まで知らなかったメスのせいこ(勢子)ガニ。
溢れんばかりの外子(受精卵)と赤いダイヤと呼ばれる内子(卵巣)は珍味の域を超えて食べる者を虜にしてしまう。
足が細すぎて身が小さく食べ辛いので、3~4ハイで1000円くらいの安価で売っているのだが、僕はこのせいこガニの方が美味しいかも・・・、と恐る恐る漏らしたら、ご主人が、味がわかる人だね、地元でもカニ好きはせいこファンが結構多いんだよ、と教えてくれた。
具沢山のカニ汁。せいこガニの甲羅が丸ごと。身も心もあったまる。
貧乏性なだけで味覚の方ははなはだ自信がないが、
僕にとって、カニだってやはり女性のほうが宜しいということだ。
福井に来たら食べたかったんだぁ。
あこがれの鯖サバ、サバ、サバ
日本海の甘エビ。
そのネットリ甘い食感は、これまでの味覚体験を覆す。
今まで食べてた冷凍甘エビはなんだったんだろう???
今が旬のノドクロ。 脂がこれでもかッというほどタップリ乗っていて、異常なまでの存在感を示してくれた。
おかみさんがマンジュウガイとか言ってた初体験の貝。
こんなの違反だよッ! と叫びたくなる旨さ。
海の香りと貝の旨みが溶け合って、縦横無尽に鼻腔を撫で回す。
あまりに堪能してしまって、このあと、何を食べたんだか記憶が消えてしまってるのだ。
本場のカニ寿司 北前船で運ばれたであろう昆布の仕込みも素晴らしい
もう、何がなんだかわからない。
おご馳走さまでした・・・。
と、「お」と「ご」を重ねて付けたくなるほど、ご主人の手さばきと日本海の食材に感謝したい気持ちだった。
お礼を言ったら、それまで職人肌で寡黙に仕事をしていたご主人が破顔一笑、地元・三国町の食材に関わる楽しい話を披露してくれた。
デザートのその後に、さらに心がとろける会話だった。
このご主人、イラスト絵画の名手でもある。
この絵は、0.3ミリの極細の水性サインペンの筆先をさらに細く削って書いたという真冬の東尋坊である。
細かい黒いドット(点)だけで、荒々しい波しぶきや積もる雪をも表現している。
本物を間近で観ると、見事としか言うほかない。
これはご主人が客のために描いた自画像。
こちらは正反対の単純なタッチなのに、写真よりずっとリアリティーがある。
今回の福井ファースト・トリップは忘れられないものとなった。
セミナーでは北陸・新潟地区の積極的に海外にチャレンジする関係者の方々と出会い、郊外では新井さんをはじめ、珍しい品種の果樹を組織的に栽培加工している元気な女性経営者とも交流した。
帰還の直前には、あの福井を代表するB級グルメ「ソースカツ丼」と名物「おろしソバ」をいただく。
プ~ンと香りたつ懐かしいウスターソースが食欲をそそる。
B級万歳ッ! と心の中で叫んだ。
ご飯は脇役ではない。
日本を代表する品種「コシヒカリ」は、実は福井で育成され誕生したのだそうだ。
素晴らしいお米があって、様々な食文化が花開いているのである。
なんともうらやましい幸せな土地だろう。
越前名物「おろしそば」
おろしに使われる辛味大根も当地の特産。
新井さんは年中使える辛味大根の保存法についても研究している。
そしてまた・・・、
突然、時の人ならぬ、時の町となった元気な小浜市のアクションにも拍手を贈りたい。
正真正銘の旨いもの王国-福井の奥はかなり深いようだ。
こりゃ、もう一度足を運ばなければならんな、
などと都合のいい予感をしている。
福井県の皆さん、本当におせわになりました。
(シリーズ終わり)
ドバイでの公式行事を終え、
JETROの手配でドバイ市郊外に視察に行った。
延々と続く砂のじゅうたん。
同じ砂でも白砂もあれば、赤い砂もある。
時折、ムスリムモスクが姿を現す。
まさにアラビアンナイトを読んで空想したような世界が眼前に。
こんなところで人はどうやって暮らしているんだろう?
ラクダさんが放牧されている。
どのくらい走ったのだろうか。
広大な白砂のじゅうたんの端に
壁で囲われた緑の一角が突然現れた。
砂漠にオアシスだな! などと悠長なことを考えていたら
なんと、そこはとんでもない規模と先進性を持った農業基地だった。
ハウスあり、露地あり、研究所あり、物流倉庫ありで
ひとつの完結された近代的アグリ社会である。
あるハウスでは、かじると果物のように甘くてみずみずしい
パプリカが栽培されていた。
忘れられない味とみずみずしさ
ほかにもスプラウト(芽野菜)やハーブ類など見たこともない野菜が
沢山作られている。
また、切花など花卉も豊富。
採算がのり易いアイテムなのだろう。
ハウスの中にいると、まさかここが砂漠の真ん中だとはとても思えない
野外に出てみると、
キャベツなどの葉野菜もかなりの広さで栽培されている。
こういう地産地消もあるんだ
そしてさらに歩を進めると、
なんとポット仕立てのイチゴの高設栽培が一面に広がっている
ではないか!!
中東ドバイでもイチゴは人気なのである。
先端技術、合理的経営、外国人労働者・・・。ひとつの農場モデル。
赤茶色の砂世界に、ここだけ緑豊かな別天地が広がる。
よ~く観ると、いたるところに技術の応用が見られる。
担当者の話を聞いても、花卉でも施設園芸も、露地にも
様々な農業技術が駆使されていることがわかる。
眼からウロコの連続。 だから海外の見聞は必要なのだ。
農業は文化でもあるが、自動車・半導体並みの技術の粋でもある
ことをまざまざと見せ付けられた。
今まで生産者の苦労、経験や勘というものを尊んでいるが、
これから更に技術を集積して、これに価値を加える戦略も
軍事や経済並みの重要性を持つはず。
日本にこれが出来ない訳はない。
世界はもう動き出している・・・。
「ニッポンを売る!」アクションに、数年前からある仮説を予見していたが、このドバイでの視察を通じて、ますますその可能性を確信している。
水が極めて乏しい地域で食料を確保すること、
技術集約的な方向性を追求し、それを戦略的に広めること
の現実を垣間見た。
わが国は水資源に恵まれている反面、
多雨や洪水、病虫害、雑草などとの闘いを強いられているが、
海を渡るといかに水が大切なのかが実感できる。
農業が自然と対峙している産業であることを再認識させられた。
だからこそ、ただ辛くて遅れた産業なのではなく、
未開の可能性を秘めた有望な近代産業のひとつであることも
広く日本の青年たちにも感じてもらいたい。
世界が水で、技術で、心でつながっている産業なのだ。
僕のためにオリジナルのパソコンを製作してくれたエンジニアのYさんは横浜出身のハマっ子だが、口数のとても少ない、
でも心から安心して付き合いのできる、これぞニッポンの技師である。
Yさんの話によれば、
メーカー製パソコンはもちろん「普通に」グローバル化が進んでいて、部品をはじめソフトも、組み立てだって海外委託生産は当たり前。
でも、とても控えめだが、きらりと瞳を輝かせて言った。
部品は確かにMade in CHINA や TAIWAN ばかりだけど、
それを吟味して、パーツ同士の相性やバランスを考え、
使ってくれる人のことをイメージしながら組み立てているので、
素人の工員さんがマニュアルどおりに部品を組み上げていくパソコンとは本質が違います。
どうか安心して使ってください。自信があります!
ニッポンの若き技師は、小声だが力強く言い放った。
傍らでコーディネーターのT嬢が大きくうなずいた。
ということは、
このマシンは地産地消のパソコンなんだよねッ!?
またもや機械オンチの間抜けな事を口走る僕。
でも、二人とも顔をほころばせて笑ってくれた。
これは外国産と日本産の性能を比較して誇るような
安直な愛国ばなしではない。
ユーザーがどこに価値を認めるか、
また、作り手の顔や哲学が見えるということにも、
口に入らないグローバルハイテク商品のパソコンにだって満足することに改めて気づかされた。
もちろん同じスペックなら、今回のオリジナルパソコンは、
市価の半額か3分の一程度となったことは言うまでもない。
かなり面白いことが出来るマイパソコンなのだ。
ありがとう Tさん!! Yさん!!
でも、組み上がって、はや一週間を過ぎるのに
まだ機械を優しく撫で回すだけで、何も始まっていない。
あまりに圧倒的なパフォーマンスを演じてくれるパソコンなので、
普通に使い慣れるまで暫く時間がかかりますので
どうかお許しください。
F1マシンに乗り込む仮免許運転者のような気分か・・・。
(シリーズ終わり)
ここ台湾では、春節(旧正月)、中秋節と並ぶもうひとつの季節イベントが、旧暦5月5日の端午節である。
端午の節句と言えば、楚の国王側近であった屈原が失意のうちに川に身を投げ、それを悲しんだ人たちが、遺体が魚に食べられないようにと粽(ちまき)を川に投げ込んだという伝説にちなんでいる。
今年は、ちょうど訪問中の5月28日であった。
日本では「中華ちまき」と言えば台湾というイメージがあるくらいで、
街のあちこちで粽を売っている。
青果市場の場外にて
よく観察すると、北部粽とか南部粽、アズキ粽など数種類あることがわかる。
ベジタリアン(素食)のために、素粽なんてのもある。
甘口、辛口など数種類あるし、さらに店や家庭によっても様々だ。
千年をも越す長い間、こうやって
変わらない売り方をしているんじゃないだろうか?
日本人に有名な小籠包の名店「鼎泰豐」本店でも粽が頂ける
鶏スープで有名な鼎泰豐だけあって柔らかい鶏肉がぎっしり(左)
ネットリ・サッパリのアズキ餡もはずせない(右)
なるほど、 プロの味もあれば、お袋の味もありそうだ。
* * *
青果市場を定点観測していた時、たまたま場外市場の歩道で、
お母さんと娘さん、お孫さんと思われる家族3人で粽を作っている現場に遭遇した。
「近くで観せてもらっていいですか?」
と、いつもの調子で僕が訊ねる。
少し恥ずかしそうにしていたが、
黙って微笑んでくれるのはOKの返事。
お互い東洋人どうしの暗黙の了解かな!?
日本では見たことないほど大ぶりの乾した笹の葉を準備する。
この時期あちこちの食材店で笹の葉を売っている
これを水で戻しておいて、クルっとひねって漏斗型の容器にする。
簡単なように見えて、やっぱり難しそうだ。
この笹の器の中に、出し汁などで下ごしらえしたもち米を詰め、
その上に貝柱や干しエビ、脂の乗った大きな豚肉の塊、椎茸、
たけのこなど数種類の具を手際よく載せていく。
最後に宝石のように橙色鮮やかなアヒルの卵の黄身をひとつ
大切に載せてから、再度お米で覆って笹の葉でくるみ、
タコ糸のような太い紐で見事に結わえるのだ。
その間、何十秒くらいだろうか?
おそらくひとまとまり作り終わったら、
その後、加熱の作業に移るんだろう。
ただ黙々と作っていく・・・。
「ひとつずつ作っていくのは面倒で手がかかりますねぇ?」
と僕が尋ねると、ようやく口をきいてくれた。
「今、若いお母さんの家では粽を作らない家庭が多いんだよ。昔は、粽を上手く作れることが、嫁入りの条件だったんだけどねぇ。」
寡黙だったお母さんがようやく笑顔で答えてくれた。
でも、ここのお家では、お嫁さん(娘さん?)とお孫さんがしっかりと手伝っていて、母の味が受け継がれていましたよ。
母娘三代の共同作業
どの国、どの地域でも、地元の農産物を使った食文化がある。
さきほどのお母さん。 僕と打ち解けた勢いで、
「よくもこんな粽作りなんか長いこと観てて、そんなに面白いかね?」
と手を動かし続けながら訊いて来た。
もしかしたら、当たり前に感じている台湾の人より、
僕のような「外国人」の方が強い関心を寄せているのかもしれない。
自分たちの文化をもう一度見直さなくちゃ。
(次回に続く)