巡回してきました。

                   
先週、台湾・鹿港の記事を自動アップしていた10日間で、
香港、中国、そして台湾に2度行ってきました。

        
    
日本は梅雨の真っ只中で水害にも見舞われているが、
香港は雨期が終わったのだろうか、
6月末のその日は過酷な暑さだった。
    

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香港・ネイザンロード   
     
     
ちょうど、7月1日は香港が中国に返還されて15周年という節目にあり、
胡錦濤主席が香港を訪れることもあり、結構騒がしかった。
    

新しい行政長官の就任に当たり、
香港市民の政治不信は神経質に思えるほどで、
民主化実現へのプロセスの難しさを改めて強く感じた。

 
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それはお隣、中国広東省もかなり荒れたニュースが飛び込んおり、
新体制のかじ取り手腕が問われそうだ。

   
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香港コンテナターミナル

     

とはいえ、香港の元気な仲間たちは相変わらずパワフルで
日本から来た元気人たちとの交流が実現し、
面白いアイデアや情報を交換できた。

  
ヒントや答えは、常に現場にある…。

        
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異常に蒸し暑い香港での一服の清涼剤  “港式檸檬茶(レモンティー)
      
   
           
香港・日本のチャレンジャー諸氏の熱気たるや
震災前とも違うし、震災後の去年ともすっかり変わってきたぞ。

  

台湾も、二期目の馬英九政権がスタートしたが
ここでも多くの不安定要素を抱えている。
     

日本も政治がガタガタだとよく言われるが、
僕の眼には、近隣アジアはどこも同じに映る。
   
そういう時代の過渡期なのだ。

    
    

一回目の訪台は、台北とその郊外。

  
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動き出す農業プロジェクト  日本の農業者にとっても今や輸出だけが海外チャレンジではない   

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久しぶりに訪ねたらすっかりベットタウン化していた淡水の街

      

二度目は台北ではなく、さらに北部の淡水や中北部の桃園県、ハイテク園区で有名な新竹市を廻り、これからの台湾の「延びしろ」を舞台にしたプロジェクトの可能性を探ってきた。

  
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桃園県のアクセス良好な土地でニッポンを売る!!仕掛けが始まる 
    
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「東洋のシリコンバレー」新竹科学工業園を目指す道 

      
    
ニッポンの外に、
グローバル市場という名の桃源郷があるわけではない。

   
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ハイテクシティー新竹も、夜になるとアナログ・ホットな夜市も現れる     城隍廟夜市  

     

いつも強調しているように
        
探すものではなく、創るもの

  
    

改めてそう感じた巡回出張だった。
                      

忌むべき連鎖

                       
原発事故、そして肥大化したマネー

     

どちらも人間が生み出したものなのに
その人間がコントロール出来なくなってしまって
今や地球的規模の危機にすらなっている。
  
G7がG20に「太り」、世界ぐるみになったところで
僕らはそのメッセージにすら耳を貸す気にもならない。

 
為替も失業率も環境問題も
もはや“G”には解決能力がないかのよう…。
     

ある意味、戦争より恐ろしい事だと
僕はこの数か月間、制御不能のこの世を
ずっと忌みし、危惧し、憂い続けている。

     
       
本来は、自然の猛威こそ、
人間が抗することの出来ない神の領域のような現象である。

    
      
数日前、海南島の知人から台風が発生したと近況の知らせが入ったかと思うと、一昨日は香港の友人から、台風の影響で風雨が強くて外出が億劫だとメールが入った。

     

そして今朝、台湾のビジネス関係先から
台風が来襲中で南部を中心に山岳部の被害が出ており、
冠水している地域もあるとの、切羽詰まった電話が入ってきた。

   
   
そう台風5号(国際名:TALIM 漢字名:泰利)である。

 
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ネットから抜粋

      

明け方、熱帯低気圧に変わったとはいえ、
今、“我が家に向かって”進路を北東に進んでいる。
       
     

来週、ちょうど逆コースで出張するだけに、
情報収集をするなどして、とりわけ強い関心を払っている。

   
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香港で台風に遭遇  2008年

     
    
台風が来る度に、最も被害を蒙るのが農林水産業であり、脆弱な地方である。
    
その影響は台風が去って終わるものではない。

       

モンスーンアジア、地震帯アジアの宿命であり、
皆その現実に、すでに何十年何百年と向き合っている。

   
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香港  2008年

   

このように自然災害さえ
アジアは共に被害を共有している現実を目の当たりにして、
我々が何をすべきか、どう行動するか
自分に何が出来るのかについて、今一度考えたい。
      

昔から国境なんてない…。

   

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ちなみに
日本ではまだ報道されていないと思うが、
先々週アジアの某地域に行った時のこと、
今また、新型インフルエンザの流行に備えて
空港などでは警戒レベルを上げていることも申し添えておこう。

   
   

先の台風4号の被害に遭われた地域の皆様には、心からお見舞い申し上げます。                    

正月7日に想い浮かべて

                             
今日は七草粥
     

七草と言えば、出荷日本一の愛媛県西条の仲間の皆さんを思い出す。
        

もうまる2年くらい会っていないかな。
でも、メールや年賀状をもらっていて、皆、元気にチャレンジしていることは知っている。
                 

タイ向けの農産物食品輸出でも洪水特需(?)もあって
大変ながらも着々と実績を積み上げているらしい。
        

今年も頑張ってくださいねッ! 

    

           

粥と言えば、
昨年末、最後の出張地だった香港で
10年ぶり? いや もっと前に行った記憶がある
九龍サイドのお粥やさんを紹介しよう。

   
    
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店の名は、「妹記(ムイケイ)生滾粥品」といって
旺角駅からすぐ近くの花園街市の上階にある。

    
     
階下は、香港のどこのブロック(町内)にもあるローカルな日用食品市場。

  

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庶民が普段使いの商品を、日々の買い出しをするところ。

  
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生活感とスパイスの香りが複雑に入り混じるパワースポット

   
      
市場の最上階に登ると、活気あるフードコートが。

  
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フードコートといってはちょっとオシャレすぎる
むしろ雑然とした市場屋台街だ。

       

      

その真ん中にドカンと鎮座していて、
一際活気ある店が、この妹記(ムイケイ)だ。

  
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メニューから、迷わず「魚腩牛肉粥」を注文。

   
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「あッ! それから油条と爽魚皮もね~っ!」

        
10数年ぶりというのに、まるで常連客みたいな厚かましさが自分でも笑える。

   
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その油条と爽魚皮

    

     
ランチタイムはとうに過ぎたというのに大勢の客。

   
          
こだわり珈琲のように一杯ずつ鍋で作るので、
当然のごとく待たされる。

   
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グツグツと湯気と音をを立てながら煮立っていく…    
     

    
せっかちの僕でも気にならないほど待ち遠しいこの時間。

   
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15分くらい待っただろうか。
     

ようやくご対面。

    
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広東粥には、なぜか白コショウが合うんだよね
     

       
アツアツ、ふーふー、トロ~リトロリと極上の白露をレンゲですすると、ああ極楽、幸福感で一杯に包まれる。

    
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僕は、粥の具はもともと豚レバーが好物なんだけど、
こんな粥の名店で味わうと、ベストマッチは絶対に淡水魚か白身魚だなって感じさせられてしまう。  
  
   
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若い女性もとにかくお粥が好き

    

    
サラッとした日本の白粥と違って、味わい深い広東粥は
魚の旨味がギュッと凝縮され、塩気もあって、生姜やネギの香草のアクセントも加わってたまらないのだが、その味を引き出すもう一つの主役は、やはり米だろう。

  

日本のコメは世界一と言われるが、香米とも言われるこの外米を使ってこそ、この味と粘りの食感が出せるのだ。

    

この食材に、この食べ方あり、だ。
      

          
    
もう一つのサイドメニュー。
    

魚の皮の湯引き。

   
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こりこりした食感と微妙な塩気がド・ストライクに良い醤油ダレと薬味のバランスが、頭をかきむしりたくなるほど旨かった。

  
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広東豪華宴会 vs  香港庶民派B級グルメは、
圧倒的大差で後者に軍配!

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おせちに疲れていなくても食べたくなる逸品でした。

  

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風向きの変化を感じた五都歴訪

             
この間、台湾、香港、四川省、浙江省、上海を廻ってきた。
     
    

10日間でこれだけだから、文字通り駆け足の出張だったが、
僕にとって極めておおきな意味を持つ旅だった。
          

  
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台湾ではいよいよ総統選・立法委員選挙戦が本格化してきた 様々な課題が炙り出される

    

ひとつは、前半後半と別々の仲間とそれぞれの目的で
今後5年を見据えた事業戦略を構築することが目的だったが、
これまでと全く異なる新たな発想の海外販路開拓のチャレンジが実現できそうな勢いであること。
  
ここに来て、日本の生産者・事業者の底力を見た思いだ。

       
     
また、もうひとつに、訪れた5都市とも
来年にかけて社会経済が大きく舵を切るほどの変化を見せるだろうという様相を垣間見ることが出来たことだ。

     

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香港のブランド店では、終日、中国大陸からの観光客で長蛇の列が
    

     

報道だけではわからない、路地裏・現場での予兆のシグナルだと感じている。  

   

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今、中国の都市近郊農村では想像以上の事が起こっている…

    
      

欧州ソブリン債務危機やアメリカの経済失速、中東ドミノ、日本の大震災など、アジアを取り巻く世界では、まさに「想定外」の事が想定外のスピードで連続的に起きている。

   

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香港・尖沙嘴イーストの繁華街の夜景
      

香港も、恒例のクリスマスの電飾が始まり、
商戦もリーマン以前を彷彿とさせるこれまで以上に過熱気味ではあるが、イギリスをはじめとする欧州と縁の深い香港の金融界の今後は不透明である。
       

      

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四川省では、農村のとんでもない光景を目の当たりにし、
ドンドンと、刻々と、変化変容していることを実感。

   
       
ニッポンにとってピンチでもあり、大チャンスも着想できる。

    
     
今こそ、外から目をそらしてはならない!

       

       
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台北では我らがユニクロが旋風を巻き起こしている

   
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台湾某県のLED農業のショールーム。これだけ低コスト投資で作れれば…

  
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早朝の幹線道路 -台北    IT・電子産業の外需の冷え込みで、懸念もぬぐえない台湾経済

   
     

どの国、どの街もそれぞれの事情と構造的な課題を抱え、今まさに国全体で克服しようと動き出している点では日本と同じ。

       

    

どこの国民も
自然災害や格差社会、既得権益などと闘いながら、
来年こそはと、希望の光を求めて、

みんなみんな頑張ってる

       
     

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香港の夜景にしばしうっとり

         

            

今日からまた一週間、東北、そして北海道をほぼ横断する。

  
どんな元気人との出会いがあるんだろうか。
                     

ご無沙汰失礼

          
またアップが遅れてしまって、ごめんなさい。

          
   
相変わらず途切れぬ出張行脚の毎日でした。

とはいえ出張なんて弁解の理由にもなりませんよね。

      

でも毎日毎晩、
全国のニッポンを売る!元気な皆さんと行動を共にしていると、
立ちはだかる高い壁を前にして、辛いこと、苦しいこと、八方ふさがりなど
逃げ出したくなるような状況でも、
皆さん笑顔とジョークを忘れず、果敢な行動をとっている人ばっかりで
早朝から深夜まで、楽しいお付き合いと日々の闘いに
充実した毎日を過ごしています。

       

      
直近のアクションは、昨日帰国したばかりの香港フードエキスポ2011

    
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香港ビクトリア湾

    
    

6年前から毎年、地域のサポーターとして参加していて、
僕自身の参謀役としての実力試しの「真夏恒例の国際試合となっている。

     
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今年もまた10万人を軽く超える来場者でごった返す会場
   

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世界に誇る香港人の強靭な胃袋パワーを改めて見せつけられた

     
     

多くの人たちがお盆休みでリラックスしている時に、
3年後5年後の将来を目指して、全国の元気人たちが香港までやって来て
今や世界の食都となったこの街で自社商品のプロモーションに励んでいる。

    
    
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ここはまさにワールドカップ状態だ。

   

今年は特に日本からの参加事業者が大幅に増え、
ニッポン専用フロアが設置されるほど。

   
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今年もジェトロの応援を頂いた

    
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北海道から沖縄まで全国各地から出展された

        
   

6年前の様子が昔の事のよう。

      
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“常連”自治体の一つ熊本市は豊富な経験を生かして大盛況
     
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ガイアの夜明けで「共演」した青森県弘前市の山野豊氏も大奮闘だ

    
     
76円後半という異常な円高、原発の風評、世界同時株安の再来など
大逆風が吹き荒れる中、本当に侍ニッポン、撫子ニッポンの皆さんは
大健闘していた。

   
    
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事前の情勢分析、リスク対応を徹底した宮崎県の各社は、複数の輸入代理店契約、発注契約等を勝ち取り、逆風下でも好成績を収めた。皆さんの合言葉は「常に挑戦すること」「あきらめないこと」

   
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つい先月、あのビニールハウスで見た富良野のメロンがうず高く積まれており、僕の目の前で次々と、
本当に「飛ぶように」売れていった。生産者の青年諸君やったぜッ!!

       
   

参加した全国の皆さん、お疲れさまでした。

   

皆さんは私の誇りです。

     

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政府や香港の日本食材需要家の皆さんも連携して安全性アピールに協力してくれている
        

        

この貴重な経験をぜひ国内での活動にも存分に生かしてくださいね。

      

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競争厳しい香港市場でも、一歩ずつ足場を築いていこう! (湾仔にて)
       

みんなどこかで動いてる(その1)

            
長期の出張で、またアップが滞ってしまい申し訳ありません。
    

ニッポン全体で、日本国民全体で歴史的苦難から立ち上がろうとしている時期なんだから、何も弁解出来ない。

    
         

昨日、鹿児島県の霧島で宿泊していた時のこと。

    

偶然、顔見知りの広東語を話す一団とバッタリ出くわした。

    

   
エエ~ッ! 何でここにいるの?
       

お互いに不思議がるや、嬉しいやら。

     

    
日本の農水産物輸出先世界一位の香港で
「ニッポンを売る!」アクションを起こしている人なら多くの人が知っている
有名百貨店の知日家の社長さん(総経理)みずから九州を訪れており、日本の食材の安全性と美味しさを確認し、香港でアピールするために、担当社員はもとより、地元で最も影響力の強い飲食関係誌の記者を帯同して視察や交流を行っているというのだ。

       

しかも日本側の招待ではなく、自ら香港の旅行社を通じて手配しているというから更に驚いた。

       

今朝の報道では、
5月の統計によると、日本からの農産品の海外輸出がほぼゼロになったという状況、すなわち海外の消費者が風評で買い控えているこの逆風下に
真実を知り、それを香港で伝えようというのだ。

    

頭が下がる思いだ。

       
    
台湾だけでなく、香港の人もこうやってアクションを起こしてくれている。

       
   
ちなみに、この一団の中に日本人コーディネータはいない。

      

原発と新燃岳噴火の風評被害で、
内外の観光客が一時遠のいたという霧島で出逢えたことも有り難い。

      

                
今日も今頃、どこかの自治体や生産者団体が懸命に、
この訪日ミッションに対して、地域の素晴らしい農水産物の安全性を
紹介していることだろう。

   
真実の姿が少しでも香港や広東の消費者に伝わることを願っている。
                                    (次回に続く)
            

過熱と冷却と

                      
中国南部の広東省からマカオを経由して香港を廻ってきた。
   

台風が東部をかすめて、土砂降りと猛暑を繰り返し、
連日34℃に達するなど、なんとも凌ぎにくい数日間だった。

   
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「過熱にはとにかく冷やすしかない!!」
      

福島原発事故のことじゃない。

      
   

お隣の中国や香港では、旺盛な景気でうらやましい状態の一方で
経済がオーバーヒートしていて、当局はどこも火消しに躍起の状態だ。

       

おりしも3日連続して広東では暴動騒ぎが発生した。
         

潮州、増城といった町での事件だ。

                

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広東には様々な人たちがいて騒ぎ出すと結構荒っぽいし、
中央とは意識が異なるからここでの騒動は要チェックとなる。

    

日本では信じられないほどのインフレ、月ごとに値上げが続いている。

    
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特に食住関連の物価高は庶民の生活を直撃している。
    

   
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豚肉だって値上りするし、公共交通機関の運賃も。  
そして香港の公務員の給与も6~7%強引き上げられる。

       
    

不動産価格は大陸も香港も天井知らずになりつつあって
様々な沈静化策が打ち出されているが、完全にはコントロール出来ていない。

    
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株価も連日下げ止まらず、香港市民も気が気でならない   

   

また、所得の格差や差別、それに取締りの薄れる政権交代前に表面化しやすい汚職と腐敗の横行は常軌を逸している。

    

まさに火種さえあれば、一気に燃え盛る雰囲気に満ちている。

    
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広州増城での騒乱を伝える13日の香港紙

    

中東民主化のドミノがアジアにも迫っているという見方もある。

    

でも、僕は中国の事態を見ながら、これを他人事のように冷ややかな目で見続ける気にはならない。

     
   

今や日米欧の「かつてのリード国」も自らの経済崩壊の建て直しでほかには手が回らない状況で、新興大国である中国の経済や社会のメルトダウンは世界経済にも影響を及ぼすだろう。

       

さらにもうひとつ、日本人は対岸の火事と冷ややかかもしれないが
僕は、日本にだってドミノが伝播して何らかの騒ぎが今後起こらないと言えるだろうかという疑問が湧いているのだ。
     

誰もまともに信じてはくれないだろうが…。

   
     

無為な政局騒動に対して、冷静な日本国民は呆れている。
      

一方で、内向きには誇りと美談が充満しているが、
海外から観た日本は、すっかりたそがれていて
マスコミや世論がこき下ろす政治家の言動や原発処理に対する下品な論調がそのままアジアでも伝えられていて、もう情けないことなんとも耐え難い。

  
Dsc_2192      また交替の総理とスキャンダル記事が新聞の片隅に    
    
     

それら政治家を拝したのは、民主選挙なる方法で国民が選んだはずのリーダーたちのはずが、この20年間、そしてこれだけの国難が襲っているにも関わらず、未だ厳しい自己変革に向き合おうとしていてない。益々ソフトランディングの可能性は乏しくなっているというのに。

   
    

「まともに」自分の頭で考えて行動する国民なら、
暴動とまで言わないがこれから何が起こっても不思議ではなくなる「臨界点」に知らず知らずのうちに近づいているかもしれない、と中国にいてそう感じた。
      

ドミノ現象がどこかの国で止まると言い切れるだろうか?

   
   

暴動や政治転覆だけじゃなく、
健全程度の活力を失った廃墟という名の深刻停滞もまた同じ。

   

    
現状分析や情報収集ばかりでなく、今こそ過去の歴史に学び、未来のビジョンを構築する視座をもっておきたいと思う。

     

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古株香港ファンの嘆き

       
節電、節水、節約、節制・・・。

      
    
1000年に一度という甚大な災害が起こった以上
国民は被災地に思いを寄せながら
当然のことと受け止め、毎日「(かゆ)すする日々」を過ごしている。

   

   
日本では、粥をすするというと
赤貧洗うがごとき暮らし向きや
体調が悪く消化の良い物を摂っているというような
形容に使われる。

     

      
中華圏ではお粥は日常食で
特に香港を中心とする広東地方では
広東粥として鶏出汁や塩味の利いた粥ベースに
正肉や臓物、魚、野菜、皮蛋、ピーナツなど
様々な具や薬味が選べ、立派な庶民派料理としてファンも多い。

   
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でも、僕も好きなこのお粥、
なんとなく香港でも今まで以上に粥をすすりたくなる気分になっているのである。

   

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土鍋の広東粥には白胡椒が良く合う

        

前夜の食事がもたれているせいもあるのだけれど、
以前に比べて物価が大幅に上がっているのだ。

    
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潮州料理の「凍蟹」も以前は普通に食べられていたのに…

      
        
金遣いが荒いのは、どうも中国などからの駐在員や旅行客で
地元の人はあまり浮かれた感じがしていない。
   

つい最近までは日本人の団体客や社用族が幅を利かせていたけど、今は昔の物語。
          
     

住宅街の多いちょっと郊外の飲茶レストランに行くと
客は多いのだけれども、なんとなく景気がいい雰囲気でもない。

    
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香港で食事をするとしみじみとそう感じるようになった。
90年代頃までは、4~500円も払うと結構おなか一杯食べられたものだが、今ではちょっと気を許すとすぐに3000円なんて伝票を突きつけられることがある。

       
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最近は財布の中身と相談しなければ飲茶ランチも摂れない

     
         
240円の牛丼や100円バーガーが出現した我が日本を観ると、
過去のイメージとの内外ギャップに混乱しているのは、
僕のような古株香港ファンだけなんだろうか?

   
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でも、僕の一番お気に入り、
舌が焼けそうなくらいアッツあつ、トロッとろの「豚レバーがゆ(猪肝粥)」の馥郁たる味わいは、30年近くたった今でも変わっていない。

    

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もうこれから高級宴席料理は滅多に口に入らないだろうけど、広東粥だけはいつまでも僕の舌の上を楽しませてくれるに違いない。
                    

世界は動いている

         
昨夜まで、再び香港に行ってきた。

      
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相変わらず中国大陸からの観光客・ビジネスマン、買出しの商売人まで、あらゆる人たちがこの活気ある街にやって来ている。

   
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繁華街の様子を見ると、高級貴金属の新店舗が軒並み新装開店していたり、ブランドショップの活況も日本の比ではない。

   

高級デパートやストアに行っても、家電製品や食品、衣類など
信じられないくらい売れている。
      

これはとんでもない景気の爆発か?? と思えるほどだ。

    

    
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不動産も天井を突き抜けている。

    

その一方で、最低賃金だの、通勤費補助だの、と
かつての自由放任主義(レッセフェール)はどこへやら
もう訳がわからないほど。

   
逆に香港の人が中国に職探しに行ったり、
買い物に行ったり、住む部屋を求めたり、
結婚相手を探したりしている。

   
エエッ!玉の輿に乗るなら中国人??

逆じゃなかったの?

     

ビジネスの話題も投資話ばっかり。

      

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しかし、現地のテレビや新聞のニュースを観たり、
ビジネスパートナーと情報交換するうちに
更に新たな様々なことが見えて来た。

     
    
今や、アメリカ、欧州、日本という三極の経済がどこも危機的な状態の中、新興国の代表的存在である中国に事業も資金も注目も集まっている。異常なくらいに…。

      

香港や中国、台湾を舞台にすさまじいスピードで、すさまじいことが、すさまじい規模で進んでいる。
     

       
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九龍・ネイザンロード

   
   

震災復興真っ只中の日本の報道を通じては、
今世界で何が起こっているのか、絶対に分からない。

       
仕方の無いことだが、これからを生きるビジネスマンならチェックを怠らないよう注目を喚起しておきたい。

 
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従来の延長線上の発想で政治や経済を考えていて良いか
これからの日本や地域、組織をデザインする人はぜひ問い直してみて欲しいと思う。
     

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いま世界は、アジアは、どこに向かおうとしているのか?           
         

今まで以上に動けっ!(その3)

          
週の台湾・台北。
      
      
日本産農水産物にあって、青果物に限っては輸出先として世界一の市場であるこの街では、輸出する側はもちろんの事、輸入する側だって日本産にこだわった事業者が多いだけに、今回の地震と津波、そして原発の風評はとても気になるところである。

      
    
そんな中でも半年先の商談や新規プロジェクトも、
きっと良くなるはず、と互いに信じて話をまとめ上げ、固い握手をするという異例の事態に。
              

       
そんな時節に、この国の人々は、日本に対する応援にはまったくの躊躇は無い。

    
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今年、新規プロジェクトに合意した台北のホテルの玄関にしつらえられた応援メッセージ。道行く人が皆、目にしていく

   
    

現地の報道によると、震災発生後二週間もたたないうちに21億台湾ドル(約57億円)の義捐金が集まったとか(現在は100億円を突破したという報道もある)、避難のために部屋を提供すると申し出も数知れないという。

   

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私たちの愛で、この親子をお家に帰すことが出来る・・・」
台北の大手コンビニでの募金の呼びかけポスター

    

    
     
台北のとあるレストランで夕食をとっていたら、
隣のテーブルに陣取っていた10人ほどの地元の若いグループと意気投合。

    

もちろん地震見舞いの言葉が自然とついて出てくる。

    
            
ガンバッテ クダサイ ネ!!
     

是做人基本的道理!!
(人として当たり前のことです)

    

 
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日本との直接のビジネスは無い証券関係の会社だが、
社員全員が一日分の給料をすぐに寄付したのだそうだ。

      

台湾921大地震や88大水害の時、僕ら日本人はどうだっただろうか。
(ちなみに日本からの救援隊は緊急かつ数多く派遣された)

    
     

    
香港でもジャッキーチェンなど芸能人や財界人がチャリティー活動を始めていた。

    
        
2008年の四川大地震や去年の中国大洪水の時の香港人の救済支援活動もまたすさまじかった。

    
(反日ではないスローガンで、オリンピックに続いて、中華民族が一致団結しているシーンでもあった。また、海外の格差がよく指摘されるが、その多くの国では、持てる人はそれだけイザという時の拠出や義務も大きいことが多い)

   

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思い起こせば、
2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した時、
その原因がわからず、当局の発表が二転三転する中、
バタバタと死者がでたときも、
香港の医師や看護師たちが自分の身の危険も顧みず、
野戦病院化した環境で決死の治療活動をしていたのを
僕は現地で感動して観ていた。

     
(東北や関東での救援活動や原発処理する皆さん、そして去年、宮崎の畜産関係者が口蹄疫を絶対に圏外に出さないと必死の防疫活動をしていた姿と二重写しになる)

     

その真っ只中、香港からの観光客が日本に入国して、どこをどう廻ったなどとマスコミが過剰に反応して全国がプチパニックになったのをみて、当時、僕は仕方がないとは言え、少々恥ずかしかった記憶がある。

   

遠い所ほど過敏になるものなのだろう。

   
    

今や立場は逆転。
    

でも、その時の態度が本性を表してしまうようで、知らずと背筋が伸びる。
                                       (次回に続く)

   

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台北で宿泊したホテルの近くの路地にて