節電、節水、節約、節制・・・。
1000年に一度という甚大な災害が起こった以上
国民は被災地に思いを寄せながら
当然のことと受け止め、毎日「粥(かゆ)すする日々」を過ごしている。
日本では、粥をすするというと
赤貧洗うがごとき暮らし向きや
体調が悪く消化の良い物を摂っているというような
形容に使われる。
中華圏ではお粥は日常食で
特に香港を中心とする広東地方では
広東粥として鶏出汁や塩味の利いた粥ベースに
正肉や臓物、魚、野菜、皮蛋、ピーナツなど
様々な具や薬味が選べ、立派な庶民派料理としてファンも多い。
でも、僕も好きなこのお粥、
なんとなく香港でも今まで以上に粥をすすりたくなる気分になっているのである。
土鍋の広東粥には白胡椒が良く合う
前夜の食事がもたれているせいもあるのだけれど、
以前に比べて物価が大幅に上がっているのだ。
潮州料理の「凍蟹」も以前は普通に食べられていたのに…
金遣いが荒いのは、どうも中国などからの駐在員や旅行客で
地元の人はあまり浮かれた感じがしていない。
つい最近までは日本人の団体客や社用族が幅を利かせていたけど、今は昔の物語。
住宅街の多いちょっと郊外の飲茶レストランに行くと
客は多いのだけれども、なんとなく景気がいい雰囲気でもない。
香港で食事をするとしみじみとそう感じるようになった。
90年代頃までは、4~500円も払うと結構おなか一杯食べられたものだが、今ではちょっと気を許すとすぐに3000円なんて伝票を突きつけられることがある。
最近は財布の中身と相談しなければ飲茶ランチも摂れないヨ
240円の牛丼や100円バーガーが出現した我が日本を観ると、
過去のイメージとの内外ギャップに混乱しているのは、
僕のような古株香港ファンだけなんだろうか?
でも、僕の一番お気に入り、
舌が焼けそうなくらいアッツあつ、トロッとろの「豚レバーがゆ(猪肝粥)」の馥郁たる味わいは、30年近くたった今でも変わっていない。
もうこれから高級宴席料理は滅多に口に入らないだろうけど、広東粥だけはいつまでも僕の舌の上を楽しませてくれるに違いない。
田中 豊
最新記事 by 田中 豊 (全て見る)
- 人生で一番高いところに登った日(その3) - 2021年2月10日
- 人生で一番高いところに登った日(その2) - 2021年2月5日
- 人生で一番高いところに登った日(その1) - 2021年2月1日
こんにちは[E:happy01]
香港は一回しか行っていませんが、大好きな街です。本当に活気が溢れる感じでした。
ニッポンを売る!さんのブログを見ると、日本語の表現の豊かさに魅了して、いつも、こっそり表現や新しい言葉をメモしています。[E:lovely]
今回メモしたマイ新語は:古株(ふるかぶ)でした。「老人児」と訳してよろしいでしょうか。[E:confident]
また、勉強になりました。有難うございます![E:note]
また、お邪魔します。
先ほど言うのを忘れましたが、
私のお気に入り粥は:魚片粥です[E:happy01]
行走富良野さん コメントありがとうございます。ご一緒した香港は大変でしたが楽しかったですね。日本に居る時とはまた別の表情をしていましたよ。これからしばらくビジネスの舞台になるところだと思いますので、どうかしっかりと富良野と香港の架け橋になってくださいね。お願いします。古株は「老人児」で良いと思います。ずっとずっと昔、僕も辞書で老人児という言葉を調べた記憶があります。中国語は入り口が広いので日本人にとってとても入門しやすい言葉ですが、歴史が長い分、奥が深くてとてもとても理解が及びません。学生の時にもっと勉強したり、留学したかったです。また、いろいろな言葉も教えてくださいね。魚片粥がお好きなのですか。僕も時々食べますよ。日本では鯛茶漬けなども人気ですが、香港の魚片粥は淡水魚が多いですよね。僕は大好きです。時折熱々のお粥に生の淡水魚の刺身が載っててギョッとしますが、かき混ぜてちょうど火が入った時の加減がもうたまりませんよね。また美味しいお粥屋さんを案内させてください。