新潟を訪れた。
積雪どころか雨が降り、拍子抜けするくらい寒さが気にならなかった。
雪かきの道具もまだ出番は無いようだ…
新潟でも今年は暖冬傾向らしい。
新潟市が主催する新潟貿易塾という勉強会に参加させていただいた。
熱心な参加者が集まり、満員の会場は終始熱気に包まれた。
新潟市は、7月には新たに政令指定都市としてスタートを切る。
先の広域合併もあり、日本一の農業生産高を誇る政令市ということになり、「田園調和都市」というキャッチフレーズがついているそうだ。
なんて新鮮でお洒落なコンセプトだろう!
新・新潟市の食料自給率はなんと67%。
全国14の政令市の中で、新潟を除くトップは仙台市の7%なんだそうだ。
0%の都市だってあるのだ。
香港やシンガポールと同じだ。
いかに大都市が外部に食料を依存しているかがわかる。
これまでの政令都市といえば、
ミニ東京よろしく、地下鉄や商業流通・物流など近代施設の整備を目指すことが多いようだが、自然景観や農業園芸との調和を謳うというのはこれからの時代を先取りしていると思う。
また、国際交流の方面では、ロシア(旧ソ連)極東地域や中国東北部との交流にも早くから熱心で、昨年初めて訪ねたウラジオストクでも新潟の知名度は抜群だった。
市の幹部や職員の方の中にもロシアのエキスパートが何人もおられ、その経験・認識の深さには驚いた。
将来、北朝鮮との関係が改善された暁には、日本海をめぐる両岸交流の一大拠点となるのは間違いないことだろう。
また、新潟にはコシヒカリに代表される米や日本酒、豊富な水産物、調味料や菓子など日本を代表する食品が多いことでも有名だ。
ここ数年、上海や台湾、ロシアなどでも新潟産の農産物や食品を見かけることが多くなった。活発な輸出促進活動が展開中なのだそうだ。
日本語はもとより、英語、中国語のほかロシア語の農産物カタログを見せてもらった時は驚いた。
台北でも各地の日本米のテストマーケティングが行なわれているが、現地の複数の取り扱い業者は、新潟越光(コシヒカリ)の生産者、支援組織の働きかけが最も熱心だと口をそろえて言う。
現に、台湾では新潟の米が高級ブランドとして浸透し始めているそうだ。
日本トップブランドの地位を固めつつある新潟米(台北にて)
ほかにも台湾では、秋田県、佐賀県、千葉県産の高級米も奮闘していた。
折りしも、17日の報道では、先のセブ島での日中首脳会談で日本米の対中国輸出解禁へ動き始め、松岡農相が急きょ北京入りしたと伝えられた。
米は価格等の競争力が加われば、わが国の戦略輸出商品となりえるアイテムだけに大きな関心がもたれている。
実務の現実はそう簡単ではないだろうと予測されるが、熱心な挑戦者たちの行動があれば、大きな扉を開ける事も夢ではなくなるはずだ。
もちろん外交交渉ごとである以上、ギブ&テイク。
米どころ新潟の皆さんは、これをどうとらえるのだろうか?
また、新潟市は数年前から、中国など海外企業の誘致にも熱心で、すでに数社の誘致に成功している。
今回出会った皆さんがそうだったが、
とてもホスピタリティーに富む新潟の人たちだから、海外のビジネスマンにしても観光客も、今後さらにこの地を訪れる人は増えるだろう。
美しい旧新潟税関庁舎(史跡)
製造業の海外進出において、
ポスト中国の動きは、ベトナム―インドの軸と並び、
中国東北部―極東ロシアの軸が見えてきた今、私は
日本海側に位置する沿海拠点都市の可能性に注目している。
その意味でも新潟のもつポテンシャルはとても高いのではないだろうか。
田中 豊
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