岡山市で農水産物・食品の「輸出オリエンテーションの会」が開催された。
朝の岡山駅前・桃太郎大通りの通勤風景
この事業は、農林水産省と各地方農政局の主催によるもので、
全国8ヶ所で順次開催される農水産物・食品の海外輸出促進のための情報交換、商談マッチング事業である。
この日の岡山会場が全国の先陣を切って催された。
午前のプログラムは「定番化に向けた輸出の取組み」と題するパネルディスカッションで、マレーシア、香港・中国、タイ、東南アジア総合の食品バイヤー、現地卸売り事業者による質疑応答が繰り広げられた。
内容は最新現地販売事情の紹介と定番化に向けた様々なアドバイスが披露された。
マレーシア・クアラルンプルの高級百貨店食品責任者氏による「とにかく現地に足を運び体感すべき。そしてひらめいたら、自ら継続的に忍耐強く売り込んでみることで活路が開ける。」という言葉が印象的だった。
もう人任せ、イベント任せの段階は過ぎているのだ。
会場は発言を耳にしながら真剣にメモを取る人たちばかりで、その熱気に圧倒された。
最新情報の収集に会場の参加者は真剣そのもの
午後は、マッチング商談会。
午前のパネリストに加え、内外の食品バイヤーが一堂に集まり、中国四国ブロック管内の食品・農林水産物事業者との間で活発な商談や個別プレゼンが展開された。
すべてのバイヤーに予め時間割が定められ、約4時間にわたりビッシリとスケジュールされているのだ。とにかく予想を超える国内サプライヤーが参加し大変な活況ぶりだった。
私も相談コーナーを任されたが、結局トイレに行く暇も無いくらい次々と情報交換をおこなった。
中国四国地区はここ数年、各県とも活発な海外販路開拓事業を展開しており、商談内容も事業企画もレベルアップしている。海外での物産催事から新たな戦略構築の段階に入っており、「次の一手」を模索している。
挑戦的で清新、アクティブな人たちばかり。
日本の地場食品産業や農林水産業も変わり始めているなあ、という印象を強くした。
最後のプログラムは「商品発掘会」と称する、輸出指向食材を用いた試食会とプレゼン会。
ホテルのホール一杯に、中四国各県が持ち寄った素材を調理した料理やデザートの数々が並び、数十社にのぼるミニコーナーが展開されて、活発な試食商談が展開された。
香港をはじめ、内外のバイヤーから次々とテスト購入のオーダーが出てくるのを間近かに目撃して驚いた。
また、地域在住の外国人によるテイスティング調査も同時に行なわれ、外国人の味覚による嗜好情報の収集も行なわれた。
日本在住外国人によるテイスティング調査
運営事業者の話によると予想を超える参加企業が集まり、とても好評だったという。
農林水産省として、初めての試みという事であったが、海外で同様の事業をすると参加者も主催者も費用がかかり、サンプル等の搬送などの手間や到着リスク等がかかるため、事業進行に力量が集中させて有効な情報収集が出来ないという欠点を克服する事業ともいえる。
多くの日本酒も出品された
地方中核都市にいながら、これほどまでに活発な農水産物・食品の商談マッチングが実現するなんて少し前なら信じられないほどの変化ぶりである。
もちろん、この情報受発信・マッチング事業もひとつの有効なきっかけであるが、あくまで事業者の今後の忍耐強い取り組みが求められるのは言うまでもない。

田中 豊

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どこの都市も生き残りをかけた売り込みに必死なのが写真の様子から伝わってきますね。
特に食に関する商品となるとエネルギーが他の商品とはまた格別に違うような気がします。