巨人軍とJAと

宮崎のJAで、
農産物の安心・安全ブランドに関する研修会が開かれた。
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開催に先立ち、JAの県連会長より挨拶が行なわれた。
当日の新聞記事を引用し、
今年の巨人軍キャンプが変わった、という話題である。
050216Giants それまでは、「見せてやる」という風な雰囲気さえあったジャイアンツのキャンプが、ファンサービスに努めだした、というのである。
 一方、おなじ宮崎でキャンプを張る新生ソフトバンクホークスのキャンプは、ここ数年の熱心なファンサービスの成果もあって、連日大勢の人が集まり、2月の3連休には12万人が押し寄せたことを紹介。
いかに天下の巨人と言えども、その差が歴然としてしまったという、この事実。
「プロの世界は、ファンあってのチームではないのか?」
これに対して、「我々JAも、
「売ってやる」という姿勢でこれからも通用するのであろうか?」という、極めてストレートな問いかけである。
聞いている私もビックリした。
会場はシンと静まり返っている。みな真剣な面持ちだ。
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「産地とは何なのか?という意味を一人ひとり考えてもらいたい。」
「安心・安全に対するすさまじいばかりのこだわりを心の中に“叩き込んでもらいたい”」
「生産者がわが事のように食の安全を考える。 -そんな人材をひとりでも多く育てたい!」
また、先月中国の野菜産地を訪問して、日本向けの栽培企業が、安全性に対するあまりにも徹底した管理に驚いたことを淡々と紹介された。
それが脅威だ、とあおるわけでなく、また、見下すような視点でもなく、そこには、同じサプライヤーとしての敬意と念と強い決意を感じさせられた。
時代の変化を読み取り、原点を確認し、自己変革していく姿勢こそ、今、日本の大組織、トップ企業に求められているのである。
「いまさら、そんなことを!」と批判するのは簡単だ。
大切なことは、組織としてそれを受け止め、変革という行動に移せるかどうかである。
集団主義、組織主義である日本が
「大戦」「バブル」「バブル後」と、分かっていても自らの力で変えられない、もっとも不得意とする局面だ。
  ― 巨人軍とJA
宮崎の地で強い印象を刻むこととなった。
今後の宮崎農業の将来が楽しみだ。
私は、会長のこのスピーチに心底感動した。
「販売目標のために頑張ろう!エイエイオーッ!」
ではなかったのである。
農業だけではない。すべての日本人が肝に銘ずる原点である。
このようなリーダーを組織に冠している生産者の人たちは幸せである。

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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。