情報共有化の段階

      
29日に東京で開かれた農林水産物等輸出促進全国協議会総会の開催に併せて、農林水産省から「農林水産物・食品の『輸出』についてのヒント集(平成21年度版)が発刊された。

   
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    「ヒント集」の表紙             (C) 農林水産省

    
      

主に、これから輸出に取り組もうとする事業者や継続的な輸出を目指す事業者を対象としているから、今、海外販路開拓に挑戦しようとしているほとんどの人たちを対象にしていると言ってよいだろう。

    
   

A4サイズで37ページという比較的簡便なボリュームだが、内容は網羅的に多岐にわたっている。

   
ビギナーにもおよそなじみやすい構成だと思う。

   
     

本書がノウハウ集やガイドブックではなく、なぜヒント集なのか?

    
    

それは、海外販路開拓の手法や取引のすすめ方は決して単一的なものではなく、様々なアプローチが考えられるからであり、いつでも何にでも通用するような、何か特別なノウハウなどが存在するわけではないからである。

   
    

また、海外に商品を持っていきさえすれば何とかなる、貿易代理店に任せておけば大丈夫などというような安易な姿勢で取り組んでは
実績は上がらないことも強調
している。

    

さらに、農林水産物を海外に輸出する意義、また食料自給率の向上や地域活性化に貢献することにも言及している。

    
   

もちろん、実務上の参考資料としての機能も充実しており、特に、海外で販売されるまでの項目別のコスト構造や国別・品目別の諸手続の概要や実例ヒントが盛り込まれているのは有益だろう。
     
    

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     「ヒント集」の裏表紙

    
     
このヒント集作成にあたり、全国から専門家、実務者10名ほどで構成される「ヒント集検討委員会」が農水省内に設置され、私も委員の一人として数度会合に参加した。

     

各委員からかなり活発な意見やコメントが出されたが、そのほとんどを内容に反映していただいた。

     

    
もちろん、このヒント集を一読したからといって輸出に成功するほど簡単なものではない。

    

また初版ということもあり、今後多くの人に活用してもらい、いろいろな意見や修正が盛り込まれ、さらに有益な情報源として進化していく可能性もある。

   
    
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  農水省の支援による海外販促事業   ロサンジェルス

   
   

本ヒント集は、農水省輸出促進室や各県輸出担当に問い合わせれば入手できるはずで、また農水省のホームページからも全文がダウンロードできるようになっている。  
http://www.maff.go.jp/j/export/e_hint/index.html

   
   

輸出の実務家の皆さんには、ぜひご一読をお薦めしたい。
     

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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。