(前回より続く)
食事の会場に行く道すがら、せっかくだからとあの有名な景勝地「東尋坊(とうじんぼう)」を案内してくれることになった。
でも天気はあいにくの冷たい雨。 しかも土砂降り。
また次の機会にゆっくり観よう…。
日本海側の冬の空を象徴するかのような雲の群れ
と、諦めかけていたら、現地に到着すると、厚い雲の合間から夕陽が顔を出してきたじゃないか!!
感動的・・・。 ツイてる。
いつの間にかカメラマンが大勢現れてきた。
新井さんの話では、こんなに綺麗な日没は珍しいそうだ。
こんな光のページェントの風景を描写しきる技術は、僕には持ち合わせていない。
垂直に切り立つ安山岩の柱状節理は日本でも三ヶ所しかないという
カメラは傍らに置いて、ただただ断崖に打ち付ける波のドラマを眼と耳と、そして心を凝らして全身で受け止める・・・。
荒々しく打ち付ける波
画像左上の小さな人影の場所が、サスペンスドラマのエンディングの定位置か?
夕日に映える屏風岩
新井さんがあきれた顔をして僕に向かって言い放つ。
「普通こんなに体の芯まで冷えるほど寒い時、よそから来た人なら記念写真だけ撮って10分もしないうちに、すぐに帰ろうと言い出すのに、あんたと来たら・・・。」
気づけば確かに寒い。凍えるように芯から冷える。
そりゃそうだ。ワイシャツに普通のスーツだけだもんね。
残念なことに、ここは自殺の地としても有名
句碑かと思ったら、「粗末にするな 親からもらったその命」と書かれている
気を取り直して、
さあ、グズグズしてないで早く行って温まりましょうよッ!と僕。
げんきんなヤツだ、と思われようが、
心は高揚しているからなんのその。
最も待たせた僕が一番先に車に乗り込んだ。
(次回に続く)
東尋坊から沈みゆく太陽を眺める
田中 豊
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冬の日本海は、演歌の歌詞以上に厳しくて・・・でも体験すると、想像以上の感動がありますよね。私も寒くて目がウルウルしているのか?感涙なのか?と思うほど、その厳しさと美しさに圧倒された記憶があります。
そんな環境にも耐えて育つ、農産物や水産物たちと地元の生活の知恵が美味しいものを育んでいて・・・胃袋を癒してくれます。そして、そのお供の日本酒も美味しく。
東尋坊の景観を眺めていると凛とする空気を感じるのは、不思議な気がします。
はなさん感動的なコメントありがとうございます。わずか数行の文章で僕の表現したかったことがすべて盛り込まれています。美しさと厳しさは裏腹の関係もあること、またはなさんは厳しさの中に凛とした美しさを見出す感性をもっていらっしゃること。とりわけ海外も含め様々な地域やそこに暮らす人々の思いを見出したり、再認識する上でぜひとも身に着けたい感性だと思います。勉強になりました。