名産地で浴びるほどマンゴーを頬張った日(その5)

(前々回から続く)

      
「ああ、やっと戻れた…。」

    

くだんの知人社長は、僕の勝手気ままな動きに持て余しきっていただけに、安どの表情を浮かべた。

      
      
彼の会社は、マンゴーをはじめ台南県のあらゆる農産物を海外に輸出する
集荷、選別、検疫対応、貿易実務を取り仕切る組織で、地元政府や農協、生産者、需要家などの強力なバックアップを受けている。

      
     
「どうぞ、どうぞ、隅から隅まで、全部観ていって下さいね。」
    

いくら僕が素人だと分っていても、
広大な施設の深部まで全公開するとは大きな自信だ。

      

いや、むしろ
海外に対応している最新鋭の設備や運営の状況を公開することで
安心安全をより確かなものにしている。

      

    
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外からこの選別作業場に入るまで、エアシャワーはもとより、お化け屋敷くらい長い、真っ暗な通路を通って初めて入室できる。何重にも厳重な措置が取られ、虫一匹なかなか侵入できないだろう。

    
     

台湾南部ののどかな田園風景とは打って変わっての近代設備と
従業員の効率よい作業風景に圧倒された。

   
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海外向けの蒸熱処理設備。50数度の熱で4時間処理する。

   
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この季節はなんといっても主力のマンゴー輸出の最盛期で
世界に向けて外貨を獲得するんだという強い意識が、清浄な空気を通してビシビシと伝わってくる。

   
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日本から検査に来る検疫官のための専用の部屋まで準備してある。

   

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倉庫の中には、海外各国向けの輸出貨物が出荷を待っている。

   

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韓国向けの荷姿だ
   
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仕向け先を見ると、日本の有名な店舗の名前がぎっしり。

     
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首都圏の消費者なら皆知っているストア向けだ

    

    
消費者ニーズ、規格、鮮度保持、検疫条件、出荷シーズン、競合国製品動向など日本市場に関して徹底的に調査し、設備、人員、資金など周到に準備している。
    

またグローバルGAP取得を目指して関連の作業も進めている。

       
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やはり農産物を本格的に輸出支援するということは、
ここまで徹するという、僕も認識こそしているが、
改めて、その凛とする現実に気を引き締めさせられた。

     

また、農産物のビジネスを成り立たせるための重要な要素が、規格外品の商品化

  
ここでは、最新鋭の乾燥機を導入して、ドライマンゴーを製造している。

   

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作りたてを一口頂くと、これはもう最高級の干し柿に匹敵する自然な甘みと食感に驚いた。命を与えられたドライマンゴーは、もしかして生より美味しいかも!!
    
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さらに、この社長さんとは、今後いろいろな農産物貿易、農業協力など
広範な情報交換、意見交換を詰めていった。

      
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マンゴーでいえば、ここ台南は、宮崎県や沖縄県、熊本県など国内産地にとっては、確かに強力なライバルともいえるのだが、ある意味、本場でもあり、栽培や利用法、技術革新などにおいて多くの集積と文化を持っているわけだから、大胆に交流してはどうだろうか

     

この社長氏も、大いに歓迎だと胸を張って答えてくれた。

      

     
日本と台湾、アジアとは、農業食品分野でも、
輸出だけでなく、様々な経済技術交流、人材文化交流、ビジネスチャンスが広がっている。

   

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地元で大人気のドライブインで
   
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生のマンゴーでお腹一杯の僕は、デザートを頬張る地元の人たちの健啖ぶりに 、ただただ見つめているばかり…。
      

        

       
それにしても、今日一日、いったい何個のマンゴーを頬張っただろうか?
   
       

もうしばらくは見るのも御免…、
とはいかず、ますます食欲をそそられるのがマンゴーの魅力である。

                                     (シリーズ終わり)

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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。