農耕文化の窓口-糸島で考える

福岡県農業会議糸島支部で講演させて頂いた。

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(会場の伊都文化会館)

糸島は福岡市の西に隣接する山紫水明の豊かな土地で、
志摩町、二丈町、前原市からなり、
九州大学の移転に伴い、
ここ数年の発展が目覚しい地域である。

いまから約8000年前には人が住んでいたといわれ、
この一帯に「伊都国(いとこく)」と呼ばれる国が
1800年前に存在していたとが魏志倭人伝にも記載されている。

至る所に古墳があり、地名も万葉仮名のような読み方も残っていて、
考古学ファンのみならず、
遠い昔に思いをはせることが出来そうな土地だ。

会合では、糸島地域の農業、食品加工のリーダーに参加していただき
会議室は満席となった。

2時間の講演時間もあっという間に過ぎたと感じるほど
非常に熱心に聞いて頂いた。

糸島地域は、福岡商業圏を控えていることから
早くから付加価値の高い農水産物を栽培してきた。

蘭や菊などの花卉栽培は有名で、
沿岸の水産養殖業も多い。
最近では、イチゴの「あまおう」の主要産地のひとつでもある。

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(目を奪われる無数の蘭が栽培されている)

また、畜産業も盛んで、
「糸島牛」はブランド化されており、
鶏肉、鶏卵も九州では知名度が高い。
生卵は、香港向けに毎週数千パックがこの地域から輸出されている。

地元畜産農家が出資して事業展開している
高級ブランド牛乳「伊都物語」は、
福岡でもプレミアム商品として根強い支持を受けている。

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(生クリームのようなプレミアム牛乳「伊都物語」)

二丈町の「福ふくの里」は、一見どこにでもある農産品直売所、道の駅のようだが、実は、漁業関係と農業関係が対等に協力して事業展開しているユニークな直販所だ。

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どこにでもありそうだが、意外にこのような形態は珍しいそうである。
まさに「海彦&山彦」の世界だ。

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(産直野菜と天然魚介類が共に充実している)

朝9時前から、多くの買い物客が開店を待っているそうで、
開業初年度から計画を大幅に上回る売り上げを出している。

このように、糸島は、農林水産畜産と非常にバランスの取れた豊かな物産に恵まれ、
また、ユニークでチャレンジ精神に富んだ人材や組織に支えられている地域だ。

これまで、日本産の農産物がすでに輸出されているという情報がなかったため、まだ実績はないが、このような進取の気性に富んだ地域なら
きっと行動を起こしてくれるに違いない。

かつては、稲作の伝播など大陸文化交流の窓口だった土地柄だけに
現代の交流拠点として、ぜひ海外にも雄飛してもらいたいものだ。

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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。

“農耕文化の窓口-糸島で考える” への2件の返信

  1. 二丈町の「福ふくの里」は、僕も何度か釣りの帰り、「坊主」のときに魚を買って帰りました。開店前からお客さんが列を作って待っているほど盛況で、びっくりしました。こういう農業・漁業が一体となった販売所はお客さんの支持が増えて、これからもっと拡大していくと思います。

  2. luckymenmaiさんコメントありがとうございます
    普段何気なく接しているお店にも、現場の方にお話を伺ってみると、いろいろな特徴や苦労談があるyものですよね。
    この福ふくの里は、とにかく消費者本意のサービスに心がけていらっしゃるようです。

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