中部ジャワ地方の奥深い味を堪能し、インドネシア料理に対する認識が変わった(その4)

中部ジャワ料理を一通り堪能したから

最後はさらっと主食を、と見渡したら
ジャワ風ナシゴレン(NASGOR DJAWA)があるじゃないか。
 
インドネシア料理で知名度が高い筆頭が
このナシゴレン
 
 
インドネシア風チャーハンなどと呼ばれるfried riceで、
イメージとしては色黒い焼き飯の上に、
目玉焼きが乗っかってて、
えび煎餅なんか添えられているあれでしょ、
なんて感じだ。
 
 
そもそも焼き飯ごときが有名だというから
インドネシア料理も大したことはないな、なんて
タカを括っていたら、
なんとこの日出逢った、一皿半人前の焼き飯は
僕の想像を遥かに大きく超える究極のナシゴレンだった。
 
 
このレストランでは、注文すると
シェフが目の前で腕を振るってくれる。
 
 
まずは熱した鉄鍋にパーム油をたっぷりと入れて
よくなじませる。
 
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前に作った米粒が残っているのはご愛嬌
 
 
 
最初に卵を割り入れる。
 
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鉄鍋とフライ返しのこすれる音がなんとも心地よい。
   
    
カッ、カッ、カカッ…
 
 
具材の鶏肉を加えられた後、 
いよいよ主役のご飯が投入される。
 
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もちろんインディカ米(外米)を炊いたもの。
 
 
カッ、カッ、カカッ…  
 
 
 
すぐさま加えられたのが赤いサンバルソース。
 
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辛みとコクを出すサンバルが馴染んだら
次は香味野菜みたいなみじん切りのハーブを放り込む。
 
唐辛子も一緒に。
 
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この後、唯一少々じっくりと炒め続ける。
 
 
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お米がほぐれてきて
そのうちに、焼けた鍋肌の上でパラパラと踊りだす。  
 
 
カッ、カッ、カカッ…
 
 
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表面の水分が跳んでしまったタイミングを見計らって
基本の調味料であるケチャップマニスを投入。
 
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ケチャップというと普通、赤いトマトケチャップをイメージするが、インドネシアではソース全般のことを言うらしい。マニスは甘いという意味で、黒くてドロッとしたソースをタップリと振りかける
 
 
 
それからは、強火に切り替わり、時間勝負だ。
  
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カッ、カッ、カカッ…
 
  
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あっという間に、今度は湯気が立ち上り、アツアツの状態に!
 
 
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そしていつの間にか褐色のテカリを発し始めているではないか。
 
 
食欲をそそる姿に変身した。
 
 
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絶妙のタイミングでサッと平皿に取り上げ、
揚げたエシャロットとハーブをまとい、
ピクルスが添えられる。
 
 
それまで集中していたシェフの表情が緩み、
そこはかとない笑顔で、その「作品」を渡してくれた。
 
 
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僕だけの為に作ってくれた、世界で一皿だけのオーダーメード。
 
 
立ち上る蒸気を吸い込んだ時から、もうメロメロになってしまった。
 
 
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口に運ぶと、すぐに舌の上で米粒が飛び跳ねる。
 
濃い色に反して、軽い舌触りで少しも幼稚な甘さを感じない。
 
奥深くて、むしろ黙りこくってしまう味というか。
 
噛みしめるほどに滋養のようなうま味が口中に広がる。
 
 
 
ショックだった。
 
ナシゴレンがこんなに美味しい料理だったなんて…。
 
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あの若いシェフが紡ぎだした錦織のような、
甘い芳香を放つ小宇宙。
 
 
たかが焼き飯。
 
されどナシゴレン。
 
 
口の中で縦横に踊る米粒たちを噛みしめながら
いつまでも心に残るあの音が、
 
 
カッ、カッ、カカッ…
 
カッ、カッ、カカッ…
 
 
(次回に続く)
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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。

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