星港のモスクで袖触れ合った老人から感じとったイスラムに対する視座について考える

近、イスラム商圏への関心が高まっている。

 
 
 
ここは星港 シンガポール
 
 
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リトルインディアと呼ばれる地区の外れの一角。
 
 
 
イスラム諸国やインド向けに
ニッポンを売る!”可能性について情報を得るために
現地系の問屋さんを訪ねた。  
 
 
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話を聞いてみると、
やはり中途半端な取り組みではとても対応できない。
                
しっかりと己れを識り、イスラムの文化、商習慣や現場の事情を理解してからでないといけないと痛感。
 
 
 
 
商談が終わって時間があったから、どこか訪ねてみようと
近くのムスリム施設を訊いたら、教えてくれたのが、
ここ Abdul Gafoor Mosque (アブドゥル・ガフール・モスク)である。
 
 
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1910年に建立されたというこのモスク、
緑色と象牙色のコントラストが見事な外壁がとても印象的だ。
 
 
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しばし見入っていると、
ベンチに腰を掛けていた初老の回教徒らしい叔父さんに呼び止められて、 
    
「まあ、ここに腰掛けろや」
   
とでもいう風に手招きされた。
 
 
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僕も何も警戒することはなかったので、
躊躇なくベンチに座って、辺りを眺めることにした。
 
 
 
その間、この叔父さんは、僕の方を見て、何やらずっと話しかけてくる。
 
 
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もちろん何語とも解らないから、愛想だけ振りまく。日本人特有のアレだ。
 
 
叔父さんの柔和な顔を見て、穏やかな声を聴いていると
こちらの心がなぜか癒されてくるような感覚がしてくる。
 
 
何か説教か法話でも聞かされていたんじゃなかろうか。
 
世間話では無かったように思える。
 
 
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と、そこに知り合いと思われる別の男が現われ、
僕のことなど始めから知らなかったとばかりに
二人は会話を始めた。
 
 
 
とても穏やかな時が流れる・・・。
 
 
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僕は一体どのくらいベンチに腰かけていただろうか?
 
 
 
ふと見ると、叔父さんは、荷物を抱えて帰って行くところだった。
 
 
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仙人のようでもあったけど、そこはやはり市井の
温和で、ちょっぴりお節介焼きな、人なつこい老人だったに違いない。
 
    
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僕は、イスラムに対する理解のほんの入り口に立っただけだが、
深い信仰に生きる人の大部分は、こんな普通の生活者なんだ
当たり前なんだけど、改めてそう感じた。
 
     
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ニュースをひねると、イスラム国やら、シリア惨劇など、中東アラブ諸国の過激なテロ事件ばかりが報道されている。
 
欧米の価値観や中国の秩序維持というような超大国の論理とは別の視座を持つべきだと思う。
 
 
とりわけ全世界に拡がる多様なイスラム圏に対する理解の妨げにならないよう、自戒の念を込めて、これからは先入観を廃し、敬意と相互理解の信念をもって向き合っていきたい。
 
 
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靴を脱ぐ。ある種日本の文化にも共通するけじめの文化。我が国の禅宗には更に脚下照顧し、履物をそろえるが、逆にムスリムには日本にはない掟やマナーも沢山あるに違いない・・・
 
 
モスクの中に入ると、そこには神聖で静寂な礼拝の空間が広がっていた。
 
 
 
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時間の許す限り、イスラムを感じよう。」  
 
 
そう思って、僕はモスクを出て、
住宅街の中に足を踏み入れて行った・・・。
 
 
 
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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。