10歳の少年の夢がかなった日(その2)

(前回より続く)
40年来の夢をかなえた後、街へ降りてきて来て小腹が空いたので、場末の食堂に入ることにした。

家庭料理を売りにしたこの店の店内は、混む時間ではなかったので数名の客がいるだけで、のんびりした空気に包まれていた。

メニューには狗肉や兎肉といった文字が普通に並んでいる。

大好物の魚香肉糸をついばむ。魚香肉糸は黒酢の香りがたまらない。あの辛味、酸味、甘味の絶妙なバランスの効いた魚香ソースだけは、本場に足を運ばなければ、北京でも香港でも食べられない味だ。

でも、本場四川ではどこでも普通に食べられる家庭料理である。

 

肉糸と言えば、北京の北京飯店東楼の京醤肉糸も甲乙つけがたい(1986年当時)。あの甜麺醤の香りを嗅いだだけで白ご飯が何杯も進む…。

 

結局ここでは、2-3皿つまんで後にした。

 

ホテルに帰る道すがら、街角で青空書道教室に遭遇した。小学生ぐらいの子供たちが無心で紙と墨に向かってる。

そこには凛とした雰囲気に包まれていた。

「出でよ!未来の王義之たちよ!」

大仏と四川家庭料理とちびっこ書家たちに後ろ髪を引かれる思いで楽山の街を後にした。(2006年筆)

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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。

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